第9話 眠れる森の美少女だそうですよ?
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その瞬間、周囲に柔らかな笛の音が響き始めた。
まるで何者かに語り掛けるように、微かな鈴の音を伴奏にしながら……。
そして、その笛の音に重なる琴の音。
笛が長く尾を引くと、琴が優しく爪弾き、
笛が低く伸びると、琴が強く響く。
笛と琴。ふたつの調べがひとつと成って、風雅な音色を奏でる。
確かに、ハクの笛も、そして美月の琴にしても卓越した、と表現すべき技量を示している様にリューヴェルトには思えた。
但し、それだけでは眠れる女神にまで届く事は有り得ない。
風に揺れる梢の如き旋律。
寄せては返し、返しては寄せる漣の如き韻律。
そのどれもがより高い次元で融合し、しかし、近寄り難い雰囲気ではなく、とても穏やかで優しい音色で有った。
古来より笛、そして、琴にも神に語り掛ける演奏具としての側面が有る。
そして、今、二人が奏でているのは技量に優れた演奏ではない。これは、神に語り掛ける言葉。実際の言葉にする事はない彼女たちの魂を籠めた問い掛け。
そう。この笛の音にも、更に琴の音からも表れていたのは二人の少女の優しさ。
瞳を閉じ、木々の間から流れ来る風に乗って響く音色に身体を委ねるリューヴェルト。
その時……。
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