暁 〜小説投稿サイト〜
私は何処から来て、何処に向かうのでしょうか?
第9話 眠れる森の美少女だそうですよ?
[8/8]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話




 その瞬間、周囲に柔らかな笛の音が響き始めた。
 まるで何者かに語り掛けるように、微かな鈴の音を伴奏にしながら……。

 そして、その笛の音に重なる琴の音。
 笛が長く尾を引くと、琴が優しく爪弾き、
 笛が低く伸びると、琴が強く響く。

 笛と琴。ふたつの調べがひとつと成って、風雅な音色を奏でる。
 確かに、ハクの笛も、そして美月の琴にしても卓越した、と表現すべき技量を示している様にリューヴェルトには思えた。
 但し、それだけでは眠れる女神にまで届く事は有り得ない。

 風に揺れる梢の如き旋律。
 寄せては返し、返しては寄せる(さざなみ)の如き韻律。
 そのどれもがより高い次元で融合し、しかし、近寄り難い雰囲気ではなく、とても穏やかで優しい音色で有った。

 古来より笛、そして、琴にも神に語り掛ける演奏具としての側面が有る。
 そして、今、二人が奏でているのは技量に優れた演奏ではない。これは、神に語り掛ける言葉。実際の言葉にする事はない彼女たちの魂を籠めた問い掛け。

 そう。この笛の音にも、更に琴の音からも表れていたのは二人の少女の優しさ。
 瞳を閉じ、木々の間から流れ来る風に乗って響く音色に身体を委ねるリューヴェルト。

 その時……。


[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ