第9話 眠れる森の美少女だそうですよ?
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オレンジ色のヘアバンドで纏める。
その瞬間。僅かに納まり切らなかった前髪が周囲に舞う風に煽られて、優しく彼女の頬に掛かった。
服装は、蒼い襟の大きなセーラー服姿。落ち着いたリズムで僅かに上下する胸の赤いリボン。そして、その胸元を飾る銀の十字架が僅かに動く様から、少女が名工の手に因る精緻な人形などではなく、造形の神が気まぐれで造り上げた生命体で有る事が理解出来る。ボトムに関しては、まるで日本の女子学生を彷彿とさせるようなミニスカートに、黒のハイソックス。それに、最後は革製のローファー。
容姿から言うと、柔らかい表情のハク。妖艶と言うべき大人の女性の白娘子。元気で誰からも愛されるタイプ。愛らしい少女の美月とはまた違ったタイプの容姿。
実際、整った目鼻立ちのシャープさで言うのなら、ハクや美月を明らかに上回る容姿。長い睫。思わず触れてみたいと思わせる柔らかそうなくちびるは淡いピンク。
未だ幼さを残しながらも、大人の女性への階段を一歩踏み出した美少女と言う雰囲気であろうか。
「森の古老と言う因りは、眠れる森の美女と言う雰囲気ですか」
森の古老などと言う表現から、表皮に浮かぶ皺のような目と、虚ろな洞の口が開いた古木を想像していたリューヴェルトも、やや拍子抜けしたかのような表情及び口調でそう言った。
更に、現在の彼女が眠りに就いて居る以上、不作法に起こす訳にも行かず、さりとて、このままこの少女が眠りから覚めるまで待つ訳にも行かず。
はっきり言うと、ここまで来て、手詰まりの状態と成ったように思われたのだ。
「眠れる森の美少女ねぇ」
こちらは嘆息混じりの一言を漏らした後、何か意味あり気に後ろを振り返り、白娘子を見つめる美月。
そして、もう一度ため息。
「ここには、彼女を目覚めさせるくちづけを行える人間はいないのですから、当初予定通りに、音楽を奏でてみましょうか」
そんな美月の様子に気付いていない様子で、自らは荷物の中から横笛らしき笛を取り出しながら、そう言うハク。
しかし、目覚めのくちづけ?
「妾が知って居るここの森を作った女神の伝承は、遙か昔に交わした約束を信じたまま眠り続ける大地母神の伝承」
リューヴェルトが疑問を感じて居た事を察知したのか、白娘子が話し始めた。
そう。それは他愛もないおとぎ話。
何時の事かも判らないぐらい遠い昔。ここの森が造られるよりももっともっと昔の物語。
世界に一柱の女神が誕生した。
しかし、その女神は破壊の女神。
そして、同時に創造の女神でも有った。
破壊なくして創造はない。彼女はそうやって、何度も、何度も世界を創っては壊し、また創る、を永遠に繰り返していた。
その破壊の女神が、何度目かの創造の後、自らの創
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