第9話 眠れる森の美少女だそうですよ?
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名乗った女性。
その口振りから察するに、彼女は直接、その李伯陽と言う人物を知って居る事は間違いない。
ただ、それならば、
「わたしにはあの蟲をどうにかする手段が有ったと言う事に成るのですが」
リューヴェルトはそう呟いた。
確かに、毒を空気と共に吸い込まされるような状況に陥ったのはウカツで有ったとは思うが、それも、勝利条件の中に存在していた森の生命体を出来るだけ殺す事なく、と言う一文があの危険な状況を作り上げたのは事実。
あの一文が無ければフェザーバリアを解除する事は有り得なかったのだから。
しかし、
「妖樹と蟲は同じように陰気に染まった存在ですが、それぞれを支配する存在が違います」
それまで、静かにリューヴェルトたちの会話を聞き流していた黒髪巫女服姿の少女。ハクが初めて口を開いた。
そして、
「私たちは、森の古老と呼ばれる存在との交渉を行い、森との絆を結び直し、人と共存出来る自然と言う物を取り戻そうとしているのです」
……と伝えて来た。
確かに、人間が関わり過ぎるのも問題が有るが、あまりにも人間を拒絶し過ぎる森、自然と言う物も問題が有る。
現実に、この森のように茂り過ぎた枝葉により陽光が遮られ、林立する樹木により風の侵入すら難しく成り、其処に陽光をあまり必要としない類の下草が蔓延り過ぎると、その森は新しい生命が育つ環境が整わなく成り……。
結局はこの死の森と呼ばれる森と大差ない状況に陥るのは間違いない。
矢張り、健康な森と言うのは、適度な陽光と、適度な風に因って育まれる物であるべき。
そう考えるのならば、現在のこの森は異常。
故に、陰気が滞り妖樹が増えて行く結果と成り、その陰気を吸い込んで妖樹となった植物を取り込んで普通の虫が、リューヴェルトを襲った妖虫と成った可能性も高い。
つまり、森との絆を結び直し、ハクや美月が言うように龍脈を作り直し、陰の気とやらを正常な物。通常の森と同じ物へとする事が出来るのならば、元の森に戻す事が可能かも知れない。
そう納得するリューヴェルト。但し、未だ幾つか疑問点が残って居る。
それならば、
「この方向には何が有るのです?」
次に必要な情報はこれか。そう考え、リューヴェルトが次の質問に移った。
確かに、この森の内部に関する詳しい情報が存在するとも思えないが、それでも流石に、ただ単に森の奥に向かって進んでいるとも思えない。
まして、ここから奥に向かおうとした瞬間に、上空で蟲に襲われた以上、この森の奥に何かが存在して居るのは間違いないと、リューヴェルト自身も漠然と感じて居るのも事実。
しかし、その台詞を発した瞬間に、彼以外の一同の間に微妙な雰囲気が発生する
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