第八十八話
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「イリヤスフィール…」
あと少しで外へ出れると言う所で背後から声を掛けられ、緊張から震えた声で凛が呟いた。
「せっかくシロウは助けてあげようって思ってたのに残念だわ。私の所から逃げようって言うのね」
と、せっかく手に入れた玩具に飽きてしまったとでも言うような感じでイリヤが言う。
「イリヤっ…俺は…」
と、何か弁明しようとしているけれど、逃げて行こうとしている事は本当で、事実だけ見ればそうなる。…が、拉致同様に連れてくれば誰だって逃げたくなるさ。
「もういい…もういいわ。キリツグも私を捨てたもの…あの人の息子だもの。私を捨てるのは当然よね…」
「イリヤ違うんだ…話を聞いてくれっ!」
イリヤは外見同様その精神は成熟しきっておらず不安定だ。癇癪を起こした子供に話を聞けと言う言葉は逆効果だろう。
「うるさいっ!もういいわ…チャンピオン、やっちゃって…」
「………」
俺はイリヤに命令されて彼女の前に歩を進める。
「イリヤっ…話をっ」
「衛宮くん、今は彼女に何を言っても無駄よ。今は生き残る事だけを考えて。あの得体の知れないサーヴァントが出てきたのよ。魔力不足で戦力にならないセイバーでは二秒ともたないわっ!」
「遠坂っ…だがっ!」
「だがもへったくれも無いのっ!勝手に捕まったへっぽこの癖に!言い訳は後にしなさいね」
「わっ…わかった…」
凛の剣幕に押されたのか士郎はようやく押し黙った。
見下ろした先の彼らは状況を把握しようとその視線を此方へと向ける。
それは好都合だった。
一瞬、俺と遠坂凛との視線が合う。その刹那で仕込みは終わっていた。
彼女は何かを決断したように背後に控えるアーチャーに向かって命令を下した。
「アーチャー、ここをお願い。私達は逃げるわ」
それに対して士郎とセイバーが抗議しているが、凛の決意は変わらない。
アーチャーに俺達の足止めをさせて自分たちは逃げる。そう決定したのだろう。
それを聞いたアーチャーは不適に返した。
足止めするのは良いが別に倒してしまっても良いのだろう?と。
凛はそれに呆れながらも期待を込めてしっかりと頷くと振り返って逃げていった。アーチャーの方には二度と振り返らずに。
「マスターに命令されたのでね、ここは通さん。俺と踊ってもらうぞ、チャンピオンのサーヴァントっ」
「まぁ、こっちも命令されているから逃げないよ」
『スタンバイレディ・セットアップ』
アーチャーにそう返すとソルを握りバリアジャケットを展開し、ソルを起動する。
階段を飛び降り、エントランスの一階に着地すると、両者の戦闘準備は整っていた。
アーチャーの手には白と黒の中華刀が握られて
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