第八十八話
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れば成らないだろう。
既にアサシンとライダーの二騎が脱落している現状、今セイバーとアーチャーを脱落させるとイリヤの身を守護する此方の身動きが出来なくなる。
それは望ましくない。
士郎、凛の性格を考えれば、聖杯が汚染されていると確証されれば阻止に動いてくれるだろうが…まだ確証が無い上に、聖杯が完成に近づけばイリヤがイリヤで無くなっていく。
…参ったな、詰んでる。と今更ながら再確認してしまった。俺自身は聖杯なんて望んでいない。そして、俺に混じった何かが望むのはイリヤの守護なのだ。
「もしかして結構ヤバイ状況?」
俺が真剣な表情で押し黙っていた為にイリヤは不安になったのだろう。
「出来れば二騎一遍に戦うのは避けたい所だったが、イリヤがやれと言えば最善は尽くそう。最悪この城を捨ててイリヤを連れて逃げることくらいは出来るさ。英雄の伝承で空を飛んだなんて物は少ないしアーチャーの狙撃さえ気にしていれば十分に逃げられる。この城の周りは森で囲まれていて障害物も多い。森に出ればそれこそ狙撃の心配も無く逃げれるだろうよ」
「そう…それじゃチャンピオン、歓迎の準備は怠らないようにね。チャンピオンは強いもの。絶対大丈夫だわ」
信頼されるのは嬉しいのだが、出来れば戦いたくないのだけれどね…今回取れる選択肢はアーチャーの撃破か。
一本目の映画通りならここでアーチャーはバーサーカーに倒される。しかし、その後、バーサーカーはセイバーと衛宮士郎に倒されて脱落するのだ。
今の俺にはこの脱落すると言う選択肢は選べない。思考が強制的に支配されているような感覚には怖気が走るが、イリヤを守れと言う内容なのでまだ不満は少ない。
その通りに動いてやるのも良いだろう。
仕方ない。ここは何とか双方を引かせるように調整するしか無いだろう。面倒だけど思兼を使えば出来ない事も無いだろうしね。
食堂へと移動してせっかくなので手に持っていたクッキーと紅茶を入れて間食しつつ、客の来訪を待つ。
イリヤはその目を飛ばしてアインツベルンの森を監視していた。
「来たわ。セイバーとリン、後はアーチャーね」
イリヤに言われずとも城の外にサーヴァントの気配は感じていた。
「あら、招待してもいないのにお城へ入ってくるみたいよ」
その声はあっけらかんとしていて緊張感が無い。
しばらく様子を見ていたイリヤが椅子から立ち上がる。
「そろそろ行くわよチャンピオン。きっとリン達がシロウを救出した頃ね」
そう言ったイリヤはエントランスへ向かって歩を進めた。
エントランスへ続く階段の上段から見下ろせば眼下にセイバー、凛、士郎が正面玄関から出ようと忍んでいた。
「あら、もう少しゆっくりしていけばよかったのに」
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