外伝
外伝1:フェイト編
第4話:ヤクト・レーベン
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「ゲオルグ。 準備はいい?」
「うん。大丈夫」
訓練スペースの中で互いの防護服を身にまとい、ゲオルグとフェイトは
向かい合っていた。
フェイトの手にはアサルトフォームのバルディッシュ。
ゲオルグの手には刀剣型のアームドデバイスが握られている。
「行くよ、バルディッシュ」
《Yes sir》
インテリジェント・デバイスであるバルディッシュとフェイトの会話を見ながら
ゲオルグは己の手にあるデバイスをまじまじと見る。
それは士官学校在学中に手当を貯めて購入した斬撃に特化した刀剣型の
アームドデバイスで、それ以来ミッド式魔法への対応のための基本ソフトウェアの
入れ替えやカートリッジシステムの搭載など、専門家の手を借りつつも
基本的にはゲオルグ自身の手によってアップデートがなされてきたものである。
「始めようか、フェイトさん」
「うん。そうだね」
2人は最後に短い会話を交わすと、それぞれに構えをとった。
(こっちから行くっ!)
ゲオルグはギリっと奥歯ををかみしめると、フェイトに向かって床を蹴った。
弱い飛行魔法で跳躍距離を伸ばし、1回跳躍一気にフェイトの懐へ飛び込む算段だ。
思い切って背をそらし、頭上に大きく振りかぶると、そのままフェイトの脳天を
めがけて一気に振りおろそうとする。
だが、フェイトはこの斬撃をゲオルグから見て左側に飛んでかわす。
(くっ・・・、これじゃ追撃ができない!)
右利きのゲオルグが左側にいる相手に斬撃を加えるには、一旦身体全体を
そちらに向ける必要がある。
その分次の攻撃へは余分な動作が必要になるため、追撃は遅れる。
(やっぱりデキる人だな、フェイトさんは)
回避のための最低限の動きによって、相手から行動の選択肢を奪い有利に運ぶ。
ゲオルグはこの瞬間にフェイトがかなりの実力者であることを理解した。
(でもっ!)
着地したゲオルグは、刃を横に倒し右回りに3/4回転してフェイトの
お腹のあたりをなぎ払うように刃を向ける。
(えっ!?)
フェイトはゲオルグの動きが意外だったのか、一瞬目を見開いてその動きを止める。
しかし自失の時間はごくわずかで、ゲオルグの斬撃を身を屈めて回避すると、
空振りによってガラ空きになったゲオルグの懐へと入りこみ、バルディッシュで
斬り上げる。
(やばっ、防ぎきれない!)
刃を振りぬいた直後のゲオルグにはそれを受け止める術がない。
回避するにはフェイトの攻撃はあまりにも速すぎた。
慌てて張ったバリアも自動発動のプロテクションも突き破り、
金色の刃がゲオルグに突き刺さった。
「ぐうっ・・・」
フェイトの攻撃によって弾き飛ばされたゲオルグは、空中で
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