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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
知らず立ちこめる暗雲
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が重なる。
ひとつの影は、見覚えがあった。射命丸文という鴉天狗だった筈である。
隣の影は見覚えがないが、背中から生えた羽が射命丸と同族だということを示してくれている。

「お久しぶりです。シロウさん」

「ああ。―――それにしても、よくここが分かったな。その様子からして、偶然出会ったという風には感じられないが」

「探していたのは事実ですが、場所までは半ば当てずっぽうでしたよ。とはいえ、こちとら新聞記者を名乗っていますから、目ざとさには自信がありますよ」

目ざといとはどちらかといえばマイナスな表現なのだが、わざとなのか素なのか………。
いや、記者なのだから語彙に造詣が深くない訳がないだろうし、わざとか。

「ところで、そちらの彼女は?」

「ああ、彼女は―――いや、その辺りはお二人でどうぞ。貴方を捜していた理由が彼女に関係しているのであって、私は直接関係はありませんので」

そう言って隣の少女の背中を押し、自身は一歩下がる。
対して前に押し出された女性は、勢い余って私の目と鼻の先まで飛び出してくる。
そして目があったかと思うと、そのまま硬直してしまう。
何か言いたそうにするも、口をぱくぱくさせるだけで空気の漏れる音さえ聞こえない。
仕方ないので、此方から切り口を開いてやろう。

「初めまして、でいいのかな?私はエミヤシロウと言う」

「は、はは初めまして。姫海棠はたてと言います!」

ツインテールを揺らしながら、勢いよく名乗る。
髪型は凛そのものだが、雰囲気は全然違うな。
まぁ、猫かぶりという前例を知る身としては、油断はできないが。

「よろしく。―――それで、一体何のようだね?私の記憶違いでなければ、君と私は初対面の筈だが」

射命丸の友人だということは何となく予想できるが、互いにさっきまで顔すら知らなかった間柄であるにも関わらず、私に用事があるとは一体。
まさか、投影のことを聞いてたかりに来たのだろうか。
少なくとも、人伝に情報を得られたとしてここまで必死になって行動を起こそうとするなんて、余程特別な理由がなければありえない。
そうなると必然的に、私の能力関係ではないかという予想が先行してしまう。
私としてはそうでないことを願いたいが、果たしてどう来るのか。

「あの、えと………その」

もじもじと身体を動かすだけで、肝心の言葉が出てこない。
とはいえ、これ以上私がどうこうできるとは思えないので、無言で彼女の言葉を待つ。
何とも言い難い雰囲気を醸し出している中、射命丸がじれったいと言わんばかりの表情で待機している。

「あっ、あの!私―――」

突如面を上げ、意を決したと言わんばかりに口を開こうとした瞬間、背後から気配が現れる。

「シロウさん、今日の献立
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