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剣の丘に花は咲く 
第九章 双月の舞踏会
プロローグ わたしは―――

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 ―――何時から……。



 わたしが……タバサになったのは……。



 『シュヴァリエ』として、イザベラの命令に従い始めた時?



 キメラドラゴンの討伐をした時?



 母さまに悪魔と呼ばれた時?



 父さまが殺された時?

 



 ……………………………。





 タバサになって、わたしは心を凍らせた。

 

 涙を流さないために―――。



 死なないために―――。


 
 母さまのために―――。



 一人で生きていくために。



 ―――泣いても。



 ―――叫んでも。



 ―――助けを求めても。

 

 誰かが助けてくれる―――なんてないことを知ったから。



 だからわたしは心を凍らせた。



 決して止まない雪風を吹かせ続けた。

 

 心に降り積もる幾重もの雪は氷となり。



 次第に氷は厚くなり。



 今ではもう、元がどんな形をしていたかも忘れてしまった。



 ……泣き方を―――助けの求め方も……忘れてしまった。



 だから……わたしはもう、シャルロットに戻れない。



 泣き方も……怒り方も……笑い方も……みんな……みんな忘れてしまったから…………。





 …………わたしは…………タバサ…………。





 ――――――雪風の……タバサ―――――― 
 


 


  
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