第一部「数奇なる騎士」
第06話「決意の矛先」
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あんたじゃない!」
「うるせえ!!」
タカヤが壁を殴った。
「ひッ…」
ミナミが思わず肩をすくませた。
「俺はあいつを超えるんだ!そうしないと、あいつにデカイ顔をされる!」
「何言ってんのよ!そういうの、ライトが一番無頓着でしょ!?」
「それでもだ!それでも、あいつには勝ちたい!勝ちてえんだよ!!」
タカヤはそれだけ言うと走り去った。
「…あのバカ…」
ミナミは呟いた。
「何の騒ぎだ?」
ライトがやってきた。
「ライト…」
ミナミは振り向いて、そしてうつむく。
「声からして、タカヤがいたようだが?」
ライトは平坦な口調で言う。
「うん、…でもやっぱり様子がおかしい…」
ミナミが俯いたまま言った。
「…俺の責任かも知れんな…」
ライトが静かに言った。
「ライト…」
「このままでは作戦にも支障が出る。…俺が何とかしなくてはな…」
ライトが、少し困った表情を浮かべた、ように見えた。
「あんたも、そんな顔するんだ。」
ミナミが微笑みながら言った。
「俺とて人間だ…」
ライトは、また無表情になると、そのまま立ち去った。
(タカヤ、あんたがいつまでもそんなでどうすんのよ…、あんたが副隊長でしょうに…)
***
翌日。
「駆動系…異常なし。サーボモーターもよし、核融合ジェネレーターも…」
格納庫で一人メンテナンスを行うタカヤ。
「こんなもんか。でも、いつまでもつか…」
そこへ
「お前は、昨日の…」
カチーナが姿を現した。
「あなたは…」
タカヤは目を細める。
「そんな顔するな、まだ根に持ってんのか?」
カチーナが微笑を見せる。
「いえ、そういうわけでは…」
タカヤが下を向く。
「…昨日は悪かったな。話はタスクから聞いた。あたしはカチーナ・タラクスだ。」
「自分は、タカヤ・ハスナカです。」
タカヤがカチーナのほうを向く。
「ああ、同じゲシュペンスト乗りだったとはな。」
「はい、しかし…」
タカヤは口ごもる。
「…お前も、試作機に乗りたいクチか?」
カチーナが言う。
「そうじゃないと言えば…嘘になります。」
タカヤが視線をそらした。
「そんなに遠慮がちになるなよ。あたしだってそうさ。」
「…でも、ただ試作機のパイロットになれればいいって訳じゃないんです。」
タカヤが右拳を左手で包む。
「勝ちたいのか?ライトフォード・シラヌイに。」
「!、なぜそれを…」
「言ったろ?タスクから聞いたって。」
「…はい。」
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