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少女1人>リリカルマジカル
第三十四話 少年期P
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 春の優しく包みこむような陽気な暖かさから、お前ケンカ売ってるだろと言いたくなるような暑さへと変化してきた季節。学校ではそろそろプールが始まりそうな、そんな炎天下の昼下がりである。

 今日は休日のため学校はお休み。なので本来なら、こんな日のこんな時間はエアコンのガンガンにきいた部屋で涼みながら、そうめんをちゅるちゅると食べたい。それか川遊びや山の空気のおいしいところに行って、遊んでみてもいいかもしれないなー。あははは……とにかく建物の中とかに入りたいです。

「あー、あそこのお店涼しそうだなー」
「日陰で我慢しろ」
「いや昨今の熱中症をなめていませんか、副官さん。すごいですよやつらは」
「お前ならなんか大丈夫だろ」
「わーい、副官さんからの絶大なるしんらーい! って、俺ならとかなんかって何ですか!?」 

 頭がちょっとボォーとしすぎていて、危うくうなずきかけてしまった。俺が6歳児の子どもに見られていないことはわかる。だけど副官さんと同じ人間という生命体ではありますよ? 最近の俺に対する副官さんの言葉が、果てしなく疑問なんですけど。

「大きな声を出すな。なんで俺たちがこんなことをしていると思っているんだ」
「え? そりゃストーカーをするた―――」
「ミッドの平和のためだろう」

 自分で聞いといてさえぎってきたよ、この人。俺は半眼で見上げてみるが、全くダメージを受けた様子はなく、先ほどと同じように壁からひっそりと覗く作業に戻っている。傍から見たら完全に不審者である。もうやだ、帰りたい。

 本当になんでこんなことになっているんだろう。途中までは普通に涼しいお店に入って、ランチを食べようとしていたじゃん。ほんの数十分前は、冷たいそばや辛いカレーとかもいいよねー、って夢をふくらませることができたのに。なんでこんな炎天直下の中で、男2人で尾行なんかしているんだっけ。

「……っ! 動きがあったぞ。おい、今度はあっちの建物の裏に転移しろ」
「副官さんって、今更だけど向こう見ずな性格だよね…」

 俺はとぼとぼと歩いて近づき、副官さんの服の袖を掴む。これが終わったら俺、特別給として『特大ギガウマアイス』という名前の未知の食べ物を奢ってもらうんだ。さすがに自分のお金で買うには怖かったので。

 そんなことを考えながら、俺は今まで隠れていた場所から移動するために転移を発動した。



******



 ―――今日俺は、地上部隊の方に足を運んでいた。

「それじゃあ、次はこの物資をミッドの東支部に送り届けてくれ。先方には事前に知らせておるからの」
「わかりました。えーと、地図地図っと…」

 総司令官に指示された場所を、もらった地図を眺めながら確認する。大雑把に適当なところへ転移させ
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