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少女1人>リリカルマジカル
第三十四話 少年期P
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らしたら」
「大きな悩みができると、それより小さいやつはどうでもよくなる感じですね」

 ある意味納得してしまった。俺もあのおじいちゃんに勝てる気がしない。

「いらないことまでしゃべったな。なんだ、結局俺は魔導師に認められるよりも、あの人に認めてほしいと思った。総司令官ならきっと俺と同じ状況になっても、切り抜けられる。魔法が使えようと使えなかろうと、持てる方法すべてを使って乗り越えて救ってみせる」

 総司令官のようになりたい。憧れの人に認められたい。……なんだ、この人もちゃんと18歳の少年だったんだな。正義のためっていう答えよりも、俺はこっちの方が好きだ。あと、副官さんの強さの一部を見れた気がする。この人の図太さと強引さは確実におじいちゃんの影響だ。


「総司令官ならこの状況でもきっと乗り越えていける。このまま野放しにしてもいい方向には進まない。ならこちらから仕掛けるしかないな」
「仕掛けるですか。……でも直接接触するのは無謀ですよね」
「いっそお前が大声で、『この人に誘拐されました』と喚いてみるか。証拠をこちらで出させるとか」
「それ警察のセリフではないですよね」

 さっきからすごく饒舌だと思っていたけど、この人もしかして暑さで思考力低下しているんじゃね。滝のように汗を流しているし、否定できない。たぶん副官さんの現在のテンションは突き抜けてしまっている。こりゃ何をするかわからないかもしれない。

 しかし、こちらででっち上げるか。さすがに誘拐は難しいな。事情聴取はできるかもしれないが、逃げられる可能性がある。確実に相手が犯罪を犯したという証拠を作らないとダメだろう。俺にできることは転移だけだ。周りに怪しまれず、あの人がいくら否定しても逃れられない罪状を作り出すなんて……。


 ……あっ。どうしよう、思いついちゃった。


「あの、副官さん。要はあの人を捕まえられる理由があればいいんですよね」
「そうだが。しかし、それができれば苦労は」
「1つだけあったりするんですけど」

 俺と副官さんは無言で見つめあう。正直俺もこの方法はどうかと思うが、ほかにいい方法が思いつかない。俺たちで捕まえることが難しいなら、別の方面から攻めるべきだ。足りないならよそから持ってくるしかない。

「それが本当なら早く実行すればいい」
「それはそうなんですけど、その……本気でやりたいですか」
「犯罪者を捕まえることをためらう必要がどこにある」
「その捕まえる方法が、俺たちも犯罪を犯すことだったとしても?」

 副官さんの言葉が止まった。不機嫌そうだった表情が、さらに悪くなっていく。犯罪者を捕まえるために犯罪を犯す。これって漫画とかだと必要悪って言うんだっけ。


「俺は……できますよ。考えたのは俺なの
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