暁 〜小説投稿サイト〜
少女1人>リリカルマジカル
第三十四話 少年期P
[6/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
……」
「……お前は転移を使って家に帰れ」
「え、あ、副官さんは?」
「俺は管理局員だぞ。みすみす見逃す理由がない」


『残念だったな。俺にはリンカーコア自体がないんだ』

 バリアジャケットの案を聞いていた時に副官さんが発した言葉。それが本当なら、彼にできることはほとんどない。拳銃のような装備は質量兵器に入るため、任務や申請書を出さない限り使うことはできない。任務中ならいざ知らず、今は休憩時間だ。武器がなければ、相手を威嚇することも反撃することもできない。自分の身を守ることだってできない。

 なのに、この人の目には一切迷いがなかった。


「……いえ、これって緊急性の任務に該当しますよね」
「おい」
「コーラルがいないので魔法は期待しないでください。でもレアスキルは使えます。役には立つはずですし、もしもの時は一緒に逃げられます」

 たぶんこの人は止まらない。怖いのは事実だが、ここで逃げてもしこの人の身に何かあったら……俺は絶対に後悔する。副官さんに転移を使って無理やりここから引き離す方法もあるが、おそらくそれは彼の思いを侮辱することになる。俺が逃げたら後悔すると思ったように、副官さんもここで逃げたら後悔するだろう。

 なら、ぎりぎりまで付き合おう。さすがにこれ以上はやばいとわかれば、転移で無理やり逃げることに異論はないはずだ。俺からの返事に副官さんは眉をひそめる。俺は正式な局員じゃないし、戦闘関連などの危ない仕事はさせないと契約している。なによりなんだかんだ言って、子どもの俺を危険にさらしたくはないのだろう。転移の有用性がわかっていても、損得だけで動くにはこの人の管理局員としての誇り(プライド)がそれを許せないのだろう。

 だけど、悪いけどこっちも引けない。

「ほら、あの人移動してますよ。追いかけないとまずいです」
「お前は」
「後で特別ボーナスをもらいますよ。こんな暑い中で仕事するんですから」

 俺は副官さんの服をつかみ、いつでも転移が発動できるようにする。この辺りの地図は頭に入っているから、死角に移動していくのはそう難しくない。俺の言葉と行動から帰る気がないとわかったのか、言っても無駄だと悟ったのかはわからないけど、副官さんは難しい顔をしながら俺が服をつかむことを受け入れてくれた。

「俺は帰れと言ったからな。レアスキルが使えるなら遠慮なく使うぞ」
「はいはい。アッシー君、出撃ってね」

 こうして、俺たちの炎天下でのストーカーが始まったのであった。



******



「……うん。あの時の俺は間違いなくハイになっていたんだろうな。やっぱりあの時点で副官さんつれて転移しとくべきだったか」
「何をぶつぶつ言っている。見失ったら今までのこのくそ熱い中での
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ