第三十四話 少年期P
[3/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
失敗が付きものじゃ」と笑ってくれたが、迷惑をかけてしまったことに変わりはない。謝罪文を総司令官に書かせてしまったことも事実だ。仕事をすると決めたのは俺なんだから、責任は持たなくてはならない。
「そんなに肩に力を入れ過ぎると疲れるぞ。緊張するなとは言わんが、適度に余裕をもっておらんとな」
「それはそうなんですけど」
「失敗しないように気を配るのは当然じゃ。そのために努力をするのもな。だが、人間は失敗をしてしまうものだ。そんな時ぐらい上司を利用しろ。少なくともお前の上司は、頑張っとるやつを無下にはせん、できるやつじゃからのぉ」
かっかっか、と豪快に笑う総司令官に俺はくすりと笑ってしまう。それ自分のことできる上司だぞー、っていうことですよね。確かにそうなんだけど、それ自分で言っちゃいます? 俺はそれがおかしくて、また笑ってしまった。
……本当に、こういうところが総司令官らしいや。
「とりあえず、これで今日のお前さんに頼むものは終わりだ」
「あ、はい。了解です」
結構早めに終わったな、と思いながら俺は近くのソファに座り込む。この地上本部に来て以来、ずっと座らせてもらっているが相変わらずのフカフカさ。絶対これ高級なものだ。うん、というわけで遠慮なく堪能させてもらおう。
それにしても、地上部隊で活動するようになってもう半年ぐらいになるのか。俺ももうすぐ誕生日をむかえるし、早いと言うべきかようやくと言うべきか。ヒュードラの事故があったのは、ちょうど今日のような暑い日だったな。……そうか、あれからもう1年経ったということか。
ヒュードラの暴走事故。これは、物語にとっても俺にとっても大きな転換期となった。俺の生活なんてそれこそガラッと変わった。クラナガンに引っ越して、友達ができて、学校に行って、管理局と関わりを持っている。
俺の家族だって、アリシアは友達と一緒に遊びに行ったり、母さんは生き生きと魔力駆動炉の開発を続けているし、リニスはこのクラナガンの動物たちの元締め姉御として君臨している。……正直誰でもいいから、降伏ポーズを見せる動物の群れの中心に、家の猫を見つけてしまった時の俺の気持ちを考えてほしい。リニスと交渉したらそいつらもふれるかな、と1番に考えてしまった俺が言うのもなんだが。
「失礼します。ただ今戻りました」
「ん、ご苦労だったなゲイズ」
「あ、おかえりなさい。副官さん」
執務室にノックが響き、そこから見慣れた人物が入室してきた。防衛長官の秘書であり、右腕である副官のゲイズさんである。ちなみに俺が珍しくちゃんと名前を憶えているのは、おじいちゃんが呼んでいるからという簡単な理由。副官さんから呼び方を注意されたことがないので、俺はいつも通りに呼ばせてもらっているけど。
「な
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ