第三章
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そこに魔術の秘密があるのではないかと思ったのだ、それでネットでこうした書き込みがホンダに関するサイトで書かれたのだ。
『あの鞄に魔術の秘密があるぞ』
『やっぱりあの鞄か』
『あの鞄か』
『あそこだろ』
チャットの中で話される、そのサイトの中の。
『あの鞄を調べればわかるだろ』
『あの人の魔術の秘密か』
『あそこに魔道書か賢者の石でもあるんだろうな』
錬金術と混ざっている者もいた、厳密に言えば魔術と錬金術は違うものだが。
『一回ホンダにその中を見せてもらうか?』
『あの中か』
『あの中に謎があるんだな』
『ああ、間違いなくな』
彼のその魔術のだというのだ、このチャットでの話からだった。
彼に鞄の中を見せてもらおうということになった、それも包み隠さず。
普通に考えて甚だ失礼な要求でありホンダは突っぱねてもよかった、だが。
彼は笑ってこう言ったのだった。
「じゃあ見てもらおうかな」
「えっ、本気ですか?」
「鞄の中を見せるんですか?」
「うん、そうするよ」
笑顔で驚く所属事務所のスタッフ達に答える。
「ここはね」
「しかし鞄の中ですよ」
「手品師の、いえマジシャンの」
何気に言葉が言い換えられる。
「それは幾ら何でも」
「そうですよ、そこはではしなくても」
「いいと思いますよ」
「むしろそれは」
「いいんだよ、僕のマジックにはタネも仕掛けもないんだから」
こういつものタキシード姿で明るく言うのだった。
「それで見せないって訳にもいかないしね」
「それじゃあですか」
「公開するんですか」
「ファンの皆に見てもらうよ」
是非というのだ。
「だからいいね」
「ホンダさんがそう仰るのなら」
「それなら」
スタッフ達も強くは言えなかった、それでだった。
彼はファン達の感謝祭においてだった、その鞄を彼等に手渡したのだった。
それも今マジックを見せたそれをだ、ありのまま手渡したのである。
「じゃあ見てね」
「今魔術を使ったところで」
「ということは」
「そう、マジックの匂いがそのまま残ってるよ」
まさにぷんぷんしているというのだ。
「だからね」
「よし、じゃあ調べるか」
「この鞄には魔法がかけられてるんだよ」
「賢者の石が入ってるんだろ」
「いや、異次元とつながってるんだろ」
「魔界だろ?」
ファン達はホンダが渡したその鞄を囲んでそれぞれ話す。
「とにかくいつも移動の時に持っててマジックにも使うこれに秘密があるんだ」
「ホンダさんの魔術の秘密がな」
「それじゃあ絶対にな」
「調べるぞ、この鞄」
「ああ、隈なくな」
「鞄は傷付けないでね」
ホンダは彼等にこう言い加えることを忘れなかった。
「それ以外なら何をしてもいいから
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