第一章
[2]次話
夏休みの出会い
太く黒い、海苔を少しだけ細くした様な一文字の眉に黒いわさわさとした感じの髪に。
白く明るい表情で見事な色の唇を微笑まさせている。鼻は適度な高さで丸くもなく咎ってもいない。目は一重で蒲鉾に似ている。
背は一七一程、佐藤純貴は夏休み前にクラスメイト達にこう話していた。
「出会い欲しいよね」
「夏休みの新しい出会いか」
「それか」
「うん、何かね」
欲しいというのだ。
「そんな話ないかな」
「けれど夏は部活にな」
「塾もあるだろ」
「成績悪いと補習にな」
「家で宿題とゲームもしjないとな」
「だからな、出会いってな」
「案外ないだろ」
「いや、お祭りとかさ」
純貴が言うのはそういう時にだというのだ。
「海とか」
「そうしたこれぞ夏って時か」
「その時にかよ」
「うん、出会いないかな」
自分の席で腕を組む顔で言った。
「そうならないかな」
「そんな話もあるだろうけれどな」
クラスメイトの一人がその可能性は零ではないと言った。
「それはな、けれどな」
「それでもなんだね」
「うん、そうそうはないぜ」
可能性は低いというjのだ。
「そんな出会いはな」
「そうだろうな、現実はな」
「海での出会いとかな」
「そんなのあまりないよな」
他のクラスメイト達も彼のその言葉に頷く。
「祭りの時でもだよな」
「あまりないぜ、現実は」
「偶然からはじまる何とやらはな」
「だからな」
可能性を低いと言ったクラスメイトがここでまた言う。
「そんな偶然よりもな」
「合コン?」
「それだろ」
彼は純貴にこれを提案する。
「やっぱりこれが一番だろ」
「合コンなんだ」
「出会い系はまずいからな」
これは駄目だというのだ。
「行ってみて所謂美人局とかな」
「男でヤクザやゴロツキだったとか」
「そんな話あるからな」
だから出会い系は恐ろしい、用心して遊ばないと非常jに恐ろしいことになることも有り得るものなのだ。それでだというのだ。
「止めた方がいいからな」
「僕達まだ高校生だしね」
「高校生じゃなくても危険だからな」
彼は言う。
「だから出会いは止めた方がいい」
「うん、しないよ」
「その方がいいからな、とにかくな」
「出会いなら?」
「合コンが一番だよ」
オーソドックスにだというのだ。
「そっちにしておけよ」
「それかな。けれど」
「ロマンがないってか」
「僕さ、そういうの好きなんだよ」
純貴は夢見る顔で語る。
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