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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第百五十五話 ヴァンフリート星域会戦 その4
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するか……」
そう独り言を言っていたヴァーンシャッフェ大佐の元へ再度ゾルゲ少尉が訪ねて来た。
「ゾルゲ少尉です、連隊長殿宜しいでしょうか?」

人望のない今となっては、尋ねてくるゾルゲ少尉に一縷の望みを掛けて再度話を聞くことにした。
「入りたまえ」

敬礼するゾルゲ少尉に何の用かと聞く。
「少尉、今度は何の話しかね?」
「はっ、我々の中でもシェーンコップ中佐達は連隊長殿を嫌っております。その為に降伏時に連隊長を人身御供に差し出して命乞いをする密議をしているようです。又先ほどから密かに集まって武器の支度をしているのです。その為に万が一を考えまして、お知らせに参りました」

ゾルゲ少尉を信用していたヴァーンシャッフェ大佐はその言葉を信じてどうしようかと考え始めるが、時間が後10数分しか無い為にどうしようも無い。そこで再度ゾルゲ少尉がアイデアを出す。

「連隊長殿、私の小隊の者が武器庫で火災を起こさせる準備をしています」
ゾルゲ少尉の言葉に大佐は驚く。
「少尉、それでどうするんだ?」

「はっ、降伏時に武器庫で火災を起こさせ、基地に混乱を起こします。さすれば、帝国も其方の爆発に意識がいってしまうでしょう」
「それで」

「其処で、我々は密かに脱出します」
「それは、敵前逃亡になるのではないか」
「いえ、敵に降伏する司令官こそ利敵行為に過ぎません。我々は基地を捨てますが、味方が来るまで4=2でゲリラ戦をすれば良いのです」

ヴァーンシャッフェ大佐もゾルゲ少尉の言葉に頷き自分達だけで逃げることにした。
ヴァーンシャッフェ大佐はまさかゾルゲ少尉がローゼンリッターからヴァーンシャッフェ連隊長を切り離し同盟側へ残す為の謀略だとは思いも因らなかった。

実はゾルゲ少尉は数年前から用意されていたアンダーカバーである。彼に命じられたことは只一つ“ローゼンリッター連隊長をローゼンリッターから引き離せ”だけであった。それ以外の報告や諜報などを全く命じられていなかった為、同盟軍諜報部からもノーマークだった。




宇宙暦794年 帝国暦485年 4月1日 1:30

■自由惑星同盟ヴァンフリート4=2 ケスラー艦隊旗艦エリュテイア

エリュテイア艦橋は、今までの帝国艦と違い、会議卓が設けられ其処に各種モニターやキーボードなどが設置され司令官ケスラー中将、参謀長メックリンガー少将、参謀ベルゲングリューン大佐、ビューロー大佐、ジンツァー大佐、その他の参謀達が椅子に座っていた。会議卓を設けた結果、帝国艦に必ずあるギリシャ風の柱は装備されておらずスッキリとた艦橋になっていた。

参謀達は普通の艦では司令官以外は戦闘中ずっと立っているのであるが、この様に座っていることは初めての事であるからか、落ち着かないようであった。
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