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Monster Hunter ―残影の竜騎士―
2 「竜鱗病」
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友達になってやって欲しいんだ」
「2つ? そういえばあんたの4つ下、って言ってたわね…てことは18歳!?」
「え、年上!?」
「同い年位に見えた? 東洋人は皆童顔でね。若く見えるんだよ……で、頼まれてくれる?」

 2人は二つ返事で頷いた。もともとこの村で彼女達と近い歳の子供は、決して多いわけじゃない。新たな友人、それも外の世界の友人を作るとなると機会は限られたから、いいチャンスだった。
 その上雪路はこの辺境の村にも噂が届くほどに有名な楽団の舞手というし、そんな彼女と交友関係を持てるなど滅多にないだろう。

「ありが「その代わり!」とう……え?」

 ほっと笑みを浮かべたのも束の間、ナギのセリフをさえぎってエリザが畳み掛けた。どこか躊躇が残る顔で、だが、きっぱりと。

「教えてほしいの」
「何を?」
「あんたの……過去ってやつを」
「……」

 前かがみになっていたナギはふっと身を起こし、そのままばたりとソファの背もたれにもたれかかった。ケルビの上質な毛皮をなめした高級品は柔らかくその背を受け止める。
 目元を腕で覆い、天を仰ぐこと十数秒。
 やがて起き上がったナギは、言葉少なにそれを了承した。 

「わかった…話すよ……。……そういうわけで決まりましたよ、真砂さん」

 開け放たれたままの扉の影からひょっこり顔をだした真砂は、ナギに隠れていたことを見通されてちらっと笑うと、青い顔の菖蒲を引きずって空いたソファに上品に座った。真砂の顔をみて姿勢を正す2人の少女は、思わず身を寄せ合った。

「汀と岬ももうすぐ来るでしょう」

 真砂の言葉が終わらないうちに勢いよく扉が開き、転げるようにして汀がナギに突進してきた。

「にいちゃおはよう!」
「うぐっ……お、おはよ…」

 二日酔いが収まっていないナギはガンガンと頭に響く高い声にうめき声をあげ、だが元気良く挨拶する年の離れた妹を引き剥がすわけにもいかずに顔を歪ませるだけだった。そんな彼の同士もまた、真砂の隣で「ぐおおおッ」と声を上げる。菖蒲だった。

「みー……その甲高い声でキャンキャン言うのはやめろ……頭に響く……」
「えー? あやにい今なんてー?」
「ごめん、汀…俺の方からも頼む…もうちょっと音量下げて……」
「凪にいちゃがみーを『みー』って呼ぶなら黙るー」
「わかったから、頼むよ、みー」
「はぁい♪」
「みー、てめぇ……っ」
「えへへー」

 男2人頭を抑えながら幼い少女に翻弄されるのは、なんとも滑稽である。2人とも必死過ぎて周りの女性陣から冷ややかな眼で見られているのに気がつかない。岬はひとりカウンターに行ってお茶の注文をしていた。出来る弟である。
 凪の頼みどおりそれきり口を閉ざした汀はソファの背もたれを足場に凪に
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