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Monster Hunter ―残影の竜騎士―
2 「竜鱗病」
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えっと……朝の鍛錬を、いつも2人でやってるんですけど…訓練所の一角で。そしたらシャンテが覗きにやってきて、わたしたちに教えてくれたんです」
「そう、あんたHR2に昇格したらしいじゃないの。それで、ええと…お祝いを、ね。言おうと思って、慌てて装備やら何やらを脱いで、シャワー浴びてたらちょっと時間経っちゃって、集会浴場が見えた時はあんたがちょうど出てきた時だったのよ。声をかけようと思ったんだけど…なんか…ちょっと声を掛けそびれちゃってさ」
「でなんとなくついてきてしまった、と」
「はい……。ここのご主人とは顔見知りだから、ナギさんのすぐあとに飛び込んできたわたしたちにご親切にここまで案内してくださって…」

 村でナギに師事している2人のことを知らぬものはいない。2人も交えた対談をするのかと思ったのだろう。
 そう大きな声を出して会話していたわけではないが、この分だと聞こえてしまっただろう。エリザがぷるぷると震えながら物欲しそうな顔をしている。リーゼロッテもなんでもない風を装ってはいるが、噂好きと相場が決まっている少女の持つ目の輝きは、隠せそうにもない。

「あの、雪路さん、ご病気なんですか? それと…その…」
「あんたたち義兄妹だったの? 血は繋がってないんだ?」
「ああ……。苗字の時点で気づいただろうけど、一応天満家では俺が長男。4つ下の雪路が長女で、その更に4つ下の双子がそれぞれ次女次男となってるかたちだが、全員両親が違うんだ。親父も、義母もバツイチでね。俺が親父と最初の妻の息子。母さんは俺を産んだあと肥え立ちが悪くて死んだ。雪路は義母――吹雪(ふぶき)さんっていうんだけど、その人の娘で…父親は不詳。それで、そんな2人が結婚して、汀と岬が生まれた」
「ややこしいわね」

 率直に言うエリザに苦笑しながら、「もっとややこしいこと言うと、」とナギは続ける。

「俺の母さんと吹雪さんは姉妹だったんだよ。吹雪さんが妹。…母さんが死んで意気消沈していた親父を慰めてたらしい。そんなわけで、ややこしい家庭ではひどくわかりやすく、俺だけ母親が違うというわけだ」

 ふっと笑った顔は、2人の目には自嘲気味に映った。だがそれもすぐにもとの穏やかな微笑に塗りつぶされる。そうだ、とナギがぽんと手を叩いた。

「2人とも、話を聞いていたならわかるよね。俺は兄としてあの子の助けになれるならなりたいと思ってる」
「ええ、わかるわよ。あたしだって姉さんが病気で、自分が力になれるのならなんだってやりたいと思うもの」
「その手伝いの一環として、ちょっと頼まれごとしてくれないかな。頼まれごとといっても簡単だ。雪路にこの村を案内してやってほしい。年も2つしか違わないし、昔から雪路は内気だったから、できたらエリザみたいなタイプがぐいぐい引っ張ってやって、
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