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あの色々とあった夜が明けた翌日。
俺は何時も通りに学校に行き授業を受けていた。けど、授業の内容はこれっぽっちも頭に入ってこなかった。何せ、俺は昨日謎の変質者に殺されかけたのだ。情けないことに思い出すだけで手が震えてくる。五十嵐に助けてもらったからよかったものを、もしも五十嵐が来てくれなかったら俺は……てっそうだよ! あいつは一体何者なんだ!? 素手で光の槍を握り潰すし、一発の蹴りで変質者が死にかけるし……。変質者も出鱈目だったけど五十嵐の方がもっと出鱈目だ。マジであいつ何者だよ……。
「それじゃあこの問題……五十嵐! 答えてみろ」
「はい。3√5です」
「正解だ。流石だな」
俺は五十嵐の方をチラリと見る。俺の知っているあいつは、隣のクラスの木場と併せて『二大イケメン』と称される程むかつく美形で、爽やか系イケメンの木場とは違い、五十嵐はクール系イケメンって言われている。
後は勉強運動ともに完璧で、めったに表情を変えない冷めてる奴だ。けど、昨日のあいつは何だ? 何時もの冷めた表情ではなく、にやにやとした、どこか狂っているような笑顔を浮かべていた。あと口調も荒れていたような気がする。まさかあれがあいつの本性なのか? ……あぁもうやめだやめ! ウジウジ悩むのは性に合わない。
俺は一旦考えることを止め、授業に集中した。
=====
放課後。帰る準備をしていたら、何やら廊下からあの騒がしい歓声が聞こえてきた。五十嵐はまだこのクラスにいる。ということは、今廊下が騒がしい原因は木場のせいだろう。ウゼー。チョーウゼー。毎日キャーキャーキャーキャー疲れないんですかねあの女子共は。
心の中で愚痴っていると、女子達の黄色い歓声がさらに大きくなった。マジかよ。あいつこっちに来るのかよ……。
「やぁ、どうも。君が兵藤君かい?」
クラスに入って来た木場は、何故か俺にそう話しかけてきた。俺こいつと話すの初めて何ですけど。
「……そうですけどぉ、何のご用ですかねぇ?」
話し方がつい嫌みったらしくなってしまうがこれは仕方ない。こいつがイケメンなのが悪いのだ。
木場は特に気にした様子もなく、爽やかなスマイルで続けてくる。
「昨日のこと、知りたくはないかい?」
――!! 「何でそのことを」という喉まで出かけていた言葉を飲み込む。今はそんなことはどうだっていい。こいつは昨日のこと……あの変質者に殺されかけた理由を知っていると言った。ということは……もしかすると夕麻ちゃんのこと、そして五十嵐のことを知っている可能性があるかもしれない。
「……OKOK。俺はどうしたらいい?」
「僕についてきてほしい」
その瞬間女子達の歓声が「イヤー!!」という悲鳴に変わった。
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