二十一章
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う
小さい頃からよく柚乃と一緒に世話をして貰っていたらしいからな
どちらにも、深い情があるんだろう
そんな時だった
この試合が始まって初、衣夜が声を発した
「サクラ あんたが家でも外でも弱いだの、容量が悪いだの
文句言われる理由・・・まだ分かってないのね
呆れて勝負に力が入らないわ」
「なっ・・・・お姉ちゃんには関係ないでしょ!」
「関係あるわよ 失礼ね
あんたが馬鹿だと、同じ『春野』の名を持つ私まで下にみられるじゃない
いい加減、そういうの・・・うざったいのよね
この試合は殺しありだし・・・・ここいらであんたの命・・・私が貰ってあげるわ」
衣夜はそう言って印を構える
「鬼気鎌風!!!!」
その声と同時に、刃物のような赤黒い風がサクラへと飛んでいく
ザシュッ!!!!!!!!
風の切裂く音と共に、サクラの体のいたるところに
大量の傷ができ、血が滝のように流れ落ちる
決まったな・・・どうせこのままいけば
出血多量で意識不明の重体に陥る
まぁ・・・最悪の場合は死ぬがな
「っ・・・・・うぁ・・・」
「何?その顔・・・もしかして、容赦すると思っていたの?
悪いけど・・・いくら妹でも
あんたみたいな奴に手加減する程、私は良い人じゃないの
早くその馬鹿みたいな考え正さなきゃ・・・死ぬわよ?」
そう言って冷たく睨みつけた衣夜の顔に
会場中が凍りついた
「っ!!サクラ選手、試合続行不可能!
よって、勝者!春野衣夜選手!!」
審判の声で、凍っていた会場から歓声が上がる
が、衣夜はそれすらも無視して俺達のもとへやってきた
「衣夜さん、お疲れ様です」
「・・・・えぇ」
「ご苦労さん・・・辛かったな」
「五月蠅いわよ・・・」
そう言って席に座った衣夜の目から零れるのは大粒の涙
例えどれだけ口で強く言おうとも
彼女は本当はとても優しい人間だ
少しだけ演じるのが上手いだけで
彼女もまた人間・・・血の繋がった妹を傷つけることに
迷いがない筈がない
それでも衣夜はそれを実行した
彼女の、周りに流されやすく
あたりの強いその性格を治させる為に
それが出来ないなら、せめて自分の手でこの世界から退場させる
そんなつもりで
涙を流す衣夜に、サソリが静かに頭を撫でた
あぁ…あそこだけ雰囲気が桃色だぁ・・・・
ラブコメしてんじゃねェよこのヤロオォォオオ!!!!
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