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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
懺悔と願望と安楽と
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の関係を隠れ蓑に、自分に嘘を吐いたのは、エミヤシロウの本質を全否定することへの無意識の抵抗から来るものなのか。
何にせよ、最早取り繕う必要はない。

「………自分のやりたいことはわからないが、今こうして君と話が出来たことに、とても幸福を感じていることだけはわかる」

「そうか。なら、いつでも話し相手になってやる。お前の過去に何があったかはまだまだ知らないことだらけだが、苦労したことだけは理解しているつもりだ。だからこう言おう、ここに居る間はそんなものは忘れて自分の望むように生きろ。過去に縛られることなく、エミヤシロウの本質の赴くままに、な」

「―――ああ、そうさせてもらうよ」

神奈子の言葉が胸にストンと落ちる。
幾年と人々と向き合ってきた彼女の言葉だからこそなのか、彼女の言う通り私は既に答えを持っていて、後押しをしてくれる存在を待っていただけだったのか。
どちらにせよ、彼女無くては終止符を打つことは叶わなかっただろう。
そして、話は終わったと言わんばかりにおもむろに立ち上がる神奈子の姿を眺める。
視線に気が付いたのか、こちらに顔を向け薄く笑いかける。

「さ、行くぞ。早苗がそろそろ昼食を作ってくれるからな」

「ならば、私は手伝うことにしよう」

「お前が来てからうちの食卓が豪華になったけど、早苗はお前の料理の腕が凄いから立場がないって嘆いてたぞ」

「料理の道に近道はない。なに、私とて料理は好きこそ物の上手なれの精神で続けていたのであって、決して才能があった訳ではないからな。早苗の腕ならば私に近づくことは無理なことではないさ。とはいえ、大人しく追いつかれるのを待つつもりもないが」

他愛のない会話をしながら、居間へと足を向ける。
そんな何気ない当たり前の時間が、とても輝いて感じた。
神奈子には感謝してもし足りないな、まったく。


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