暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
懺悔と願望と安楽と
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、複数の説を持つ者もいる。
アーサー王なんて、どの説にも書かれていなかったまさかの女性だったというオチだからな。
とはいえ、男としてのアーサーの名の方が広まっている以上、男のアーサーも存在していても不思議ではないが。
脱線したが、証明できないということは、如何様にも手を加えることができるということでもある。
それが正しいかはともかく、自分にとって都合の良い思想や理念を持っていた宗教を信仰するのが当たり前だ。
その地域によっては刷り込みのように宗教の教えを信じ込むように仕込まれる場所もあるが、それはマイナーケースだ。
極端なほど信心深い者を除けば、その名前の元となった神を信じるのではなく思想や理念に対して関心や共感を得ているのが大半だと予想する。
人間という利己的な生き物が、偶像に対しそこまで執心するとはとても思えないからだ。
とはいえ、この考えもあくまで時代によるもので、遙か昔ではその限りではないのは当然である。

「名も知らぬ外の一般人は、まさか神がこんな美人だとは思いもしないだろうさ」

「おだてても何も出ないぞ。それに、神なんてものは得てして不細工であると表現されること自体稀だからな。一般人からしても、そこまで極端に驚く奴はいないんじゃないかな?」

さて、どうだろうか。
私が知る英霊やそれに準ずる実力者は、総じて一般的な女性と比較しても美しい部類に入る者ばかり。
意図的なものを感じずにはいられないが、それは別段問題ではない。
その例に漏れず、神奈子もまた美人である。
多少奇抜な格好をしてはいるものの、それらが総じて違和感なく調和している。
少なくとも、この服装をする為に生まれたのではないかと言うぐらいには、八坂神奈子たらしめる要素となってはいるだろう。

「それで―――どうだ?思い当たる節は浮かんだか?」

神奈子の問いに、ただ静かに目を閉じて自分を見つめる。
人間としての幸福を捨て、人外になり果ててまで救った命ははっきり言えばちっぽけなもの。
そしてその代償に、救いたいと思った命をこの手に掛けるという矛盾を刻まれてしまった。
数えるなんてことはしなかったが、恐らくは釣り合いは取れていないだろう。それも悪い意味でだ。
結果論として、どうすることが正解だったのか。
その問いに解を与えてくれる者はこの世に誰一人としていないだろう。
―――だが、それでも。
今はこうして、悩みを打ち明けられる相手がいる。
解を与えてくれずとも、悩みを吐き出せる相手がいる。
それはとても幸福なことだということは理解る。
同時に、それを切り捨ててきた自分が如何に愚かだということも。

私が嫌われるのは構わないなどと言ったが、あれもごまかしだ。
私は間違いなく、守矢家に居ることに充足感を覚えている。
早苗達
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ