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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
懺悔と願望と安楽と
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「………なぁ、その悩み、私には言えないことか?」

ジッと目を合わせ、そんなことを聞いてくる。

「自分でもわからん。私の悩みなど、当に解決していることなのかもしれない。不必要に悩み、無為に時間を費やすだけの行為かもしれない。そんな下らない悩みでも、話す価値があるのだろうか」

「価値なんてものは主観と客観で無限に存在する。それを決めるのはお前じゃないよ」

「………なるほど、尤もなことだ。流石は聞き上手な神様といったところか」

「茶化すなよ。―――で、どうなんだ?」

数秒考えた結果―――話すことにした。
とはいえ、大まかな部分は端折っていくつもりだが。

「………私は、異常者というレッテルを貼られていた。奉仕精神が常軌を逸している、と言えばなんとなく予想はできるだろうが、とにかく他人の為に在ろうとし続けたのだ。その果てに命を失うといった不幸が待ちかまえていようとも、止めることはしなかった。今の私は、その成れの果てだ」

静かに独白する様子を、神奈子は無言のまま聞き入れる。
口を挟まないその姿勢に、好ましさを覚える。

「今でこそきちんと自覚し、こうして恥の上塗りが如く振り返ることができるが、あの頃の私にはそんな余裕がなかった。いや、振り返る価値などないと認識していたんだ。自分のやっていることに一切の間違いはないと、愚直に信じていたんだ」

言葉だけ聞けば否定しているだけの羅列だが、決して衛宮士郎の信念を貶めているつもりはない。
奴の信念そのものに、間違いはないことは重々理解しているつもりだ。とはいえ、全肯定出来るのであればそもそも悩む必要もないのだが。

「信念そのものは間違いではなかったと今でこそ理解しているが、その時は理解ではなく盲目に信じていただけだった。自己犠牲の行き着く先などたかが知れている。止めてくれる仲間の想いすら投げ打って、その果てには自己満足しか残らなかった。人間であることさえ捨て、それでも理想には届かなくて。ご都合主義のハッピーエンドとまではいかなくとも、せめてましな終焉を望んでいたのだが、世界はどこまでも優しくない。―――いや、世界のせいにするのはお門違いだな。そのハッピーエンドへの選択肢を間違えていたのは、他ならぬ自分のせいなのだから」

「………お前は、人間ではないのか?」

「気付いていなかったのか?というか、前にサーヴァントであると説明したであろう」

「かなりの力を秘めていることは感じていたが、幻想郷ともなれば人間でも妖怪や神に追従する能力を持つ者も少なからずいるからな。強さの幅では人間か人外かなどとは測れないんだ。外見で判別するなら、尻尾や羽が生えているといった風に出来るが、そうでもない妖怪もいるから一概に信頼は出来ないけどな。それと、お前は自分をサーヴァ
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