暁 〜小説投稿サイト〜
アンドレア=シェニエ
第三幕その五
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話

「な・・・・・・」
 彼は断られるだろうと考えていた。断ってほしかった。それで諦めがつくからだ。
「それであの方が助かるのなら」
 彼女は今にも壊れそうな顔でそう言った。小さいが強い声で。
「私は喜んで貴方のものになりましょう」
「・・・・・・・・・」
 今度はジェラールが沈黙した。彼女の心を知り何も言うことができなくなったのだ。
「私の様なものの犠牲であの方が救われるなら」
 彼女はここで顔を上げた。
「私は喜んで犠牲になりましょう!」
 そして今までとはうって変わって激しい声でそう宣言した。
 やはりジェラールは何も言うことが出来なかった。マッダレーナは言葉を続けた。
「革命が起こった時のことです」
 彼女は言った。
「人々は私の屋敷にも雪崩れ込んで来ました。そして家の者を次々と殺していきました」
「そうでしょうね」
 否定することはできなかった。革命を全て見てきたからだ。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ