暁 〜小説投稿サイト〜
少年は魔人になるようです
第28話 一行は休憩に入るようです
[1/9]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


Side クルト


トン、と軽い音がして、エルザ様が谷底へ落ちて行く。

ナギは勿論助けに来ないし、愁磨さんは眉一つ揺らさず、それを見ていた。


「エルザ様……!!―――なぜ、何故ですか、愁磨さん……!!」


僕は、自分の無力さが歯痒かった。

『紅き翼』に入ってからも、常にそれを感じていたけれど、

だからこそ、あの人達なら、なんでも出来ると思っていた。


(『クルト。』)

(『え、あ、愁磨さん!?』)


と、当の本人から念話が届く。

谷は、渦巻いている魔素のせいで魔法が使えなくなっている。

ここは、上では魔法を使えるけれど、念話なんて届かないはず・・・・。

いえ、非常識さを説いても今更ですね。


(『そうそう。んな事、今更ってもんだ。』)

(『思考を読まないでください!!って、なんで助けないんですか!?

皆さんなら、この位の逆境なら――――!!』)

(『……なぁ、クルト。お前、俺を…俺達を、信じられるか?』)


愁磨さんは僕の質問を無視して、そう続ける。

――そんなの・・・・・。


(『貴方達を信じなくて、誰を信じろと言うのですか……?』)

(『クフフフフ……なら、信じてろ。――またな。』)


『またな。』確かにそう言って、愁磨さんも谷へ飛び込んだ。


「クックッ…王家の者と最強の魔法使いの血肉は、さぞかし美味でしょうな。」


議員の一人が得意そうに言うけれど、僕にはもう不安は無かった。


「これで、世界の悪は滅びました!!どうぞご安心ください!!

録画終了。――よろし「いよぉぉ〜っし、こんなモンだろぉ!!」」


カメラが止まった瞬間、兵士の一人が聞き慣れた声で笑いながら、

実に場違いな馬鹿丸出しの声を上げる。


「録れたか?ちゃ〜んと録れたか?御苦労さん♪

オイおっさん、これ生中継とかねえよな?ねよな?流石にまずいんだよね〜。」

「っな、無礼者ォ!!貴様何者だ!名をっぶ!!」

「録画はここで終わり。

で、ここで今から起こる事は無かった事になる。分かるな?」


言い終わると、兵士は気合いで鎧を吹き飛ばす。

と、そこから現れたのは、褐色肌の筋肉の塊―――もとい


「せ、千の刃の、ジャック・ラカン!!?」


この人は、もっとスマートに登場出来ないのでしょうか?

――そして周りの兵士も、次々現れるメンバーにどよめく。


「こ、近衛詠春!!アルビレオ・イマ、フィリウス・ゼクト!!

ガ・・・ガトウ!!貴様もか!!!」


一人で全員の名前を言う辺り、御苦労様と言った感じです。


「『
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ