第28話 一行は休憩に入るようです
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Side クルト
トン、と軽い音がして、エルザ様が谷底へ落ちて行く。
ナギは勿論助けに来ないし、愁磨さんは眉一つ揺らさず、それを見ていた。
「エルザ様……!!―――なぜ、何故ですか、愁磨さん……!!」
僕は、自分の無力さが歯痒かった。
『紅き翼』に入ってからも、常にそれを感じていたけれど、
だからこそ、あの人達なら、なんでも出来ると思っていた。
(『クルト。』)
(『え、あ、愁磨さん!?』)
と、当の本人から念話が届く。
谷は、渦巻いている魔素のせいで魔法が使えなくなっている。
ここは、上では魔法を使えるけれど、念話なんて届かないはず・・・・。
いえ、非常識さを説いても今更ですね。
(『そうそう。んな事、今更ってもんだ。』)
(『思考を読まないでください!!って、なんで助けないんですか!?
皆さんなら、この位の逆境なら――――!!』)
(『……なぁ、クルト。お前、俺を…俺達を、信じられるか?』)
愁磨さんは僕の質問を無視して、そう続ける。
――そんなの・・・・・。
(『貴方達を信じなくて、誰を信じろと言うのですか……?』)
(『クフフフフ……なら、信じてろ。――またな。』)
『またな。』確かにそう言って、愁磨さんも谷へ飛び込んだ。
「クックッ…王家の者と最強の魔法使いの血肉は、さぞかし美味でしょうな。」
議員の一人が得意そうに言うけれど、僕にはもう不安は無かった。
「これで、世界の悪は滅びました!!どうぞご安心ください!!
録画終了。――よろし「いよぉぉ〜っし、こんなモンだろぉ!!」」
カメラが止まった瞬間、兵士の一人が聞き慣れた声で笑いながら、
実に場違いな馬鹿丸出しの声を上げる。
「録れたか?ちゃ〜んと録れたか?御苦労さん♪
オイおっさん、これ生中継とかねえよな?ねよな?流石にまずいんだよね〜。」
「っな、無礼者ォ!!貴様何者だ!名をっぶ!!」
「録画はここで終わり。
で、ここで今から起こる事は無かった事になる。分かるな?」
言い終わると、兵士は気合いで鎧を吹き飛ばす。
と、そこから現れたのは、褐色肌の筋肉の塊―――もとい
「せ、千の刃の、ジャック・ラカン!!?」
この人は、もっとスマートに登場出来ないのでしょうか?
――そして周りの兵士も、次々現れるメンバーにどよめく。
「こ、近衛詠春!!アルビレオ・イマ、フィリウス・ゼクト!!
ガ・・・ガトウ!!貴様もか!!!」
一人で全員の名前を言う辺り、御苦労様と言った感じです。
「『
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