第三十三話 少年期O
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様方にアピールしたから結構話題にはのぼっているらしいよ」
「……ミッドがどこかへ行こうとしている」
学校から家に帰り、制服から私服へと着替え終わったアルヴィンとアリシアは『ちきゅうや』に訪れていた。卵かけごはんの研究をするには、それを引き立ててくれる相棒食材の存在を忘れてはいけない! と力説したアルヴィンは食材を見に来たのである。
アリシアはそんな兄にくっ付いてお店へと一緒にやって来た。宿題は大丈夫なのか、と不思議そうなアルヴィンにアリシアは笑顔でうなずいてみせる。なんせ彼女の宿題を完成させるには、このお出かけは必須なのだから。
「お兄ちゃんとエーちゃんって仲良しだよねー」
「はぁ? どこをどう見たらその感想が出てくるんだよ」
呆れ顔のエイカに、アリシアは今までのことを思い出してみる。よくけんかをしたり、言い合ったりしている2人の姿。大抵はアルヴィンが色々やらかしていることが原因だが、エイカもそれなりに反撃するようになっている。それでも仲がいいと思うのは、そこに見えない信頼があるように感じるからだ。
前にアルヴィンが転移を使えることを知らなかったエイカが、それを知った時に彼に詰め寄ったことがあった。何故そうなったのかはアリシアにはわからなかったが、2人が初めて出会った時のことで揉めたらしい。
だけど少し時間をおくと、アルヴィンが笑いながらペコペコ頭を下げ、エイカは溜息をつきながらその頭を一発ペシッと軽くはたいて終わった。その後はいつも通りで、お互いに引き摺っている様子も全くなかった。そんな彼らの関係を表すのなら、まさにケンカするほど仲がいいである。
「むむ、これはネタに使えそうかも」
アリシアの目がキラリと光る。改めて観察をしてみると新たな発見をすることができた。それに彼女はちょっと得した気分になる。アリシアは宿題のタイトルに『兄について』書こうと至ってから、ちょこちょこ観察をしている。結構楽しんでいるらしい。
「なぁ、妹はなんでメモ帳を片手に持っているんだ」
「調べものをする時は、これがスタンダードだってお兄ちゃんに教えてもらったから」
「……あれは、参考にしたらダメな分類の筆頭だと思うんだが」
エイカのなんともいえない視線に、アリシアは理由がわからず不思議そうに首をかしげる。だがこの視線は、エーちゃんがお兄ちゃんを見るときによくしている目だ、ということには気付いたのであった。
「えーと、ツナ缶と鮭缶にのりだろ。あ、岩のりや味付けもおいしそうだなー」
「ねぇねぇ、お兄ちゃん。これはどう?」
「お、ふりかけか。それならこっちの種類が合わせやすそうだな」
2人は調味料や食材を売っているコーナーに立ち寄って物色していた。ちきゅうやには日本だけでなく海外のものが
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