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少女1人>リリカルマジカル
第三十三話 少年期O
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メリニスにも言ったとおり、アリシアは書けるものがいっぱいありすぎることに困っていた。

「それでも1つに絞った方がいいぞー。書きやすいし、まとめやすいからな」
「あっ、おはよう、お兄ちゃん」
「おはよう、妹よ。お兄ちゃんがスライムになっていても、まったく動じないあたりを成長として喜ぶべきか、悲しむべきか」

 何はともあれ復活した兄と一緒に、兄妹そろって帰り道を歩く。児童の下校時間の流れから少し外れているため、周りに子どもの姿はない。そんな中、海賊じゃなくて、インディさん関係でゼリー戦する方がよかっただろうか、と全く的外れなことを考えるアルヴィンを尻目に、アリシアは思い切って質問してみることにした。

「お兄ちゃんは今日の宿題で何を書くか考えてる?」
「ん? 宿題って先生が言っていたやつだよな。そりゃもちろん、放ろ―――いや。あの3要素はちょっと置いておこう。他に俺の好きなものだから…………卵かけごはんについてとか?」
「おぉ。なるほど、おいしいもんね」
「……だよな。そこがわかるとはさすがは我が妹」

 ぶっちゃけ今食べたいものがポロッと出てしまっただけのお兄ちゃん。だけど案外いけるかもと思い直し、思考を始める。もともと気分転換に、全力で何かに打ち込みたいと考えていたのだ。これは宿題なんだし、全力を注いで没頭しても悪いことになるわけがない。アルヴィンの脳内はそう結論付けた。

「そっかー。お兄ちゃんはもう決まっちゃったのか」
「確かに語りたいことがいっぱいありすぎるのはわかる。俺も卵かけごはんの素晴らしさについて語りたいが、多すぎるからな。項目ごとに分けていくのも1つの手だし、バッサリ切ってしまうことも大切だ」

 母さんに頼んで、今日は卵かけごはんを作ってもらって研究しよう、とやる気満々のアルヴィン。もともと好奇心が強く、何事にも積極的に取り組んできたアリシアとしても妥協はしたくない。ならば兄と同じように、身近に観察できる対象の方がいいだろう。

 そこまで考えて、アリシアはアルヴィンをじっと見つめる。自分が好きだと思うもので、尚且つ最も身近なもの。その答えをすぐに彼女は見つけたからだ。

「卵のとろとろ感を表現するには、絵もいれるべきか? いや、むしろここはコーラルに映像を頼んで上映会にするべきじゃないのか……」
「―――よしっ!」

 独り言をぶつぶつと呟く兄と、悩みが解決してすっきりした様子でガッツポーズをする妹。傍から見たら色々心配になる凸凹兄妹だが、本人たちはいつも通り幸せそうな様子で帰路を進んでいった。



******



「よぉー、エイカ! 繁盛しているか?」
「まぁな。……給料増えるのは嬉しいが、色々と複雑にはなるけどな」
「そう? 子どもネットワークを通じて、奥
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