第三十三話 少年期O
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夢が広がらね? 普通にじゃんけんで決めるよりか、はるかに楽しいと俺は思うよ。ほら、気の早い子はもう宝探し始めちゃっているし。
「そう、宝探しはまさにロマン! 受け継がれるゼリーの魅力。時代のうねりによる品種改良。子どもの夢。これらはとめる事のできないものだ。子どもたちがゼリーを求める限り、食欲は決してとどまることは無い!」
「大変だ! リトスがごみ箱をひっくり返そうとしている!」
「え、どれだけゼリーが食べたいの」
「ふっ、まだまだ甘いぜ! 宝探しならたとえ火の中、水の中、草の中、森の中、スカートの中ッ……!」
「アレックス! 今すぐランディを取り押さえろ!」
「終わらぬ食欲がお前たちの導き手ならば、超えていけ! ものがゼリーの旗のも―――」
あれ、先生? 俺の肩に手を置いてどうしたんですか。なんでそんなににっこり笑って、俺と少年Cを連れて職員室の方に行かれようとしているのでしょうか……。あれぇー。
******
「お兄ちゃんがスライムのようになっている」
「あれは仕方がないと思うけどね」
アリシアとメリニスは机に突っ伏している物体を見て、それぞれ感想を言い合う。時刻は放課後。帰りの挨拶も終わり、各自で下校を始めている時間である。登下校中に何かあってはまずいため、必ず2人一緒に帰るのがテスタロッサ家の約束事にある。なのでアリシアはそっと兄の様子を一瞥し、1つうなずいてみせた。
もう少ししたら普通に復活するだろう。アリシアはそう結論付け、メリニスに心配しなくても大丈夫と伝える。メリニスも「まぁアルヴィンだから…」と実に簡単に納得した。彼女らの中での、彼の立ち位置がよくわかる会話だった。
「そういえば、アリシアって今日の宿題はどうするの。何を書くかは決まった?」
「あ、あれだよね。うーん、書きたいものがいっぱいありすぎて困っている感じかな」
『自分の好きなものについて書いてみましょう』
担任の先生が出した本日の宿題である。特に生き物や食べ物などと決められていないので、文字通り自分の好きなものに対しての意見や感想を文章に書けば大丈夫であろう。ちなみにこれを聞いた少年Aことアレックスが、「とりあえず放浪といじりと妹以外で書けばいいか」と呟いて、周りから共感を得られたのは余談である。
兄の復活を待つために、友人とさよならをしたアリシア・テスタロッサ。手持ちぶさたな彼女は、宿題の内容を考えることで時間を使うことにした。とりあえず1つ1つ自分が好きなもの、と言われて思いつくものを頭の中にあげていく。
まずは動物たちだろう。それにケーキやお菓子も好きだし、身体を動かすことや勉強も好きだ。あと学校だって好きだし、友達も好き。彼女はここまで考えてむぅ、と首をひねる。
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