第一部
序章 〜桃園の誓い〜
弐 〜出会い〜
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か、思い浮かばぬ。
関羽が配下にしてくれとか、どのような冗談だ?
私は劉備ではないし、成り代わるつもりもないのだが。
「関羽。貴殿は真に使えるべき主がいる筈だ。結論を焦る事はない」
「いいえ。私は悟りました、私自身の未熟さと共に、ご主人様こそ、真に仰ぐべき御方だと」
真っ直ぐに、私を見据えてくる。
「しかしな、関羽」
「愛紗です」
……うむ、これは参ったぞ。
困惑したまま、他の者に目を向けると、今度は張飛が立ち上がった。
「鈴々も、お兄ちゃんについていくのだ」
「何だと? 張飛、正気か?」
「張飛じゃないのだ。鈴々と呼んで欲しいのだ!」
関羽だけでなく、張飛も……だと?
「何だか面白そうですねー」
「風? あなた、まさか……?」
「稟ちゃん。まだ曹操さんにはお目通りしていませんけど、風はもう決めました」
と、程立は私に近づいてくる。
「お兄さん。風も、臣下に加えていただきたく。以後、風とお呼び下さいねー」
「はっはっは。いやいや、これだけの御仁に出会い、人となりも見せていただいたのだ。ならば、私も決断を下しましょう。この趙雲も、末席にお加え下され。真名は、星です」
「良いのか? そのように軽々しく決めては……」
「軽々しくなどないですよ、お兄さん」
「左様。主と呼ぶに相応しい生き様。この星、ようやく、仕えるべき相手に巡り会えた、そう確信しております」
そして、程立は振り向いて、郭嘉を見た。
「さてさて、稟ちゃん? どうしますかー?」
「ぐ……」
「風は、稟ちゃんがどう決断しようと何も言いませんよー。かねてから、曹操さんにお仕えする事が稟ちゃんの目標でしたし」
「そうだぞ、稟。我らは我らの道を行く。だが、それにお前を巻き込むつもりはない。……もっとも、稟が今、何を望んでいるかは別だがな」
何故か、ニヤニヤと笑う趙雲。
そして郭嘉は、私を一瞥し、顔を真っ赤にする。
……なるほど。
私とて、朴念仁ではない。
だが、それを相手に無理強いするつもりもないがな。
「わかりました。私も、自分を偽る事は出来そうにありませんから」
真っ直ぐに、私を見据えると、
「土方様。私も、貴殿にお仕え致します。以後稟、とお呼び下さい」
……ふむ、夢でないのだとすれば神仏も酷く悪戯好きと見える。
歴史に名を残した武将達が、女子ばかり。
しかも、皆が私に仕える……だと?
私は、皆の上に立てるような者ではないのだが。
「真名とやら、それは預かる。だが、私は主君たるような人物ではない」
「そうでしょうかー? 風はそう思いませんけどね」
「ええ。身に纏う覇気と漂う貫禄、それは本物です」
二人の言葉に、関羽
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