第一部
序章 〜桃園の誓い〜
弐 〜出会い〜
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思っていますからねー」
「ふ、風! 今ここで言わなくても良いでしょう」
いずれ曹操に……となると。
「戯志才。間違っていたらすまぬが……貴殿、本当の名は郭嘉であろう?」
「…………」
黙り、か。
「どうやら違っていたようだな。済まぬ」
「……いえ、その通りです。訳あっての偽名、お許し下さい。私は姓を郭、名を嘉、字は奉孝と申します」
観念したように、話す郭嘉。
「いや、無理に言わせた格好になった。私の方こそ、詫びるべきだ」
「そ、そんな事は……」
おや、郭嘉が何故か目を逸らしている。
そして、隣では程立が何故かにやけているな。
……まぁいい、話を続けるとしよう。
「さて、国の事であったな。ここよりも遙か東に、島国がある。そこはかつて、徳川氏により幕府……そう、武人の棟梁による国があった。だが、それを打倒せんとする勢力が現れ……力及ばず敗れ去った」
「…………」
皆、私の話に聞き入っている。
「無論、ただむざむざと倒された訳ではない。私は、仲間と共にその国の為に戦い続けた。そして有志と共に、その国の北にある大きな島へ辿り着いた。そこが、蝦夷共和国だ」
「では、貴殿はその国の将軍、という訳か?」
将軍か……。
私の中では将軍、というと上様の事になる。
趙雲が言うそれとは意味合いが異なるだろう。
「そう解釈して貰えれば結構だ。そうだな、陸上部隊の指揮官……とでも言えばいいか」
だが、もうあの世には戻れぬ。
……死んだ訳でもなさそうだが、何故か私にはそんな確信があった。
「もう少し、貴殿の事をお聞かせいただけませんか?」
郭嘉が、真剣な目で言った。
「いいだろう」
こうなれば、今更隠すべき事はあるまい。
私は自身の信念に従って、精一杯生きてきたのだから。
試衛館時代の事、浪士組の事、新撰組の事、そして幕府軍としての戦い……。
思えば戦いずくめの生涯を、余すところなく、語った。
一通り話を終えた時。
不意に関羽が、席を立った。
そして、私に向かい、深々と頭を下げた。
「申し訳ありませぬ! 貴殿がそのような方とは露知らず、数々のご無礼を」
「いや、止そう。私とて、貴殿と同じ立場だったら、やはり疑わずにはいられなかっただろう」
「いいえ!」
関羽は、顔を上げて、
「貴殿の腕前、そしてその器量。並々ならぬ御方と見ました。どうか、私を貴殿、いえ、ご主人様の臣下に」
……突拍子もない事を言い出した。
「待て待て。詫びならばそれで十分だ」
「いえ! これはけじめではありませぬ。私の真名は愛紗、貴方様にお預けします」
あまりの事に、私もどう返すべき
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