第一部
序章 〜桃園の誓い〜
弐 〜出会い〜
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、その証拠はあるのか?」
関羽の言葉も、尤もだ。
「証拠はない。あったところで、到底信じて貰える事ではなかろう。私自身、それが証明する証などない。だが、皆の事を知っている限りで当てて見せよう」
「ほう? 例えば?」
興味津々と言った風情の趙雲。
「そうだな。趙雲、貴殿は常山の出だな?」
「おや、正解ですな」
「次に関羽。貴殿は私塾で子供に学問を教えていたであろう?」
「……む。そ、その通りだ」
「次に程立だが。後に、程cと改名を考えているな?」
「むー。稟ちゃんにしか言っていない風の秘密なのに、お兄さんがご存じとは」
「戯志才。貴殿は、曹操に仕えている筈だ。なのに、このような場所にいる訳がない……だから、偽名と見たが?」
「……ぐ。そ、その通りです」
「お兄ちゃん。鈴々は、どうなのだ?」
さて、張飛か。
私の知る張飛は、豪傑だが酒癖が悪く、そして粗暴。
……だが、全くそうは見えぬ。
「まさかとは思うが……。酒は痛飲しても平気か?」
「正解なのだ!」
「初対面なのに、全員の事を知っている、と。……確かに、あり得ぬ事だが」
関羽が、腕組みをする。
「私からも一つ、聞かせて欲しい。張飛や程立が、先ほど聞いたものと違う名を名乗っているようだが?」
「真名の事ですかー?」
「真名? なんだ、それは?」
程立はジッと、私を見る。
「どうやら、本当にご存じないみたいですね。真名というのは、姓名や字以外に持つ、神聖な名前なのです」
「これは、本人の許しがなければ、いくら親しい相手であっても呼ぶ事は許されません。もし、そうなれば」
「即座に殺されても文句が言えぬ、という訳です」
戯志才と趙雲が、後に続いた。
「なるほど。諱のようなものか」
「諱とは?」
「忌み名、とも書く。無学故詳しくは知らぬが、親や主君のみが呼ぶ事を許される名だ」
「真名に良く似ているのですねー」
皆がしきりに頷いている。
「私からも、一つ聞かせて貰いたい。貴殿の名だが、姓が土、名が方、字が歳三……で良いのか?」
と、関羽。
「いや、そうではない。姓が土方、名が歳三だ。字というものもない」
「むー。お兄ちゃん、変なのだ」
「変と言われても仕方なかろう。それが事実だ」
私の言葉に、皆が顔を見合わせた。
そう言えば、私も確かめたい事がある。
「関羽、張飛。貴殿達は、まだ誰にも仕えていないのだな?」
「ああ。今の私には、まだそのようなお方はおらぬ」
「鈴々もなのだ!」
となると、この場に劉備がおらぬ以上は黄巾の乱以前の時代という事か。
「程立に戯志才も、だな?」
「稟ちゃんはいずれ、曹操さんにお仕えしようと
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