第一部
序章 〜桃園の誓い〜
弐 〜出会い〜
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直、私も一息入れたかったところだ。
半刻も経たずに、賊は潰滅した。
全滅とはいかぬが、少なくとも再度襲い掛かってくるような真似はせぬであろう。
「助かった。礼を申す」
「大した事ないのだ」
「私など、後から助太刀したに過ぎん。礼には及ばんよ」
「いや、正直危なかった。私からも、お礼を言わせて貰う」
義理堅い関羽らしく、丁寧に頭を下げている。
「……そして、貴殿にも礼と、詫びをせねばならぬな。この通りだ」
と、私にも。
「いや、気にするな」
「しかし、それでは私の気が済まぬ」
と、食い下がる関羽。
「その前に、まずは落ち着きませんか?」
「そうですよ。お兄さんもお姉さんも、お疲れのようですしー」
む?
趙雲の連れらしい二人、
眼鏡をかけた女子と、頭に人形のような物を載せた子供……?
しかし、先ほどの賊は全て男であったが。
……どういう事だ、これは?
「この先に村がありますぞ。皆、参られよ」
「そうだな。関羽、まずは趙雲に従おう。良いか?」
「う、うむ」
何故か、関羽は顔を赤くして目を背けた。
そして、小さな宿に落ち着いた一行。
「私は……蝦夷共和国陸軍奉行並、土方歳三だ」
「蝦夷共和国? それは、どこにある国なのですか?」
と、眼鏡をかけた娘が尋ねてくる。
「その前に、私が名乗ったのに皆は名乗らぬのか?」
「は、これはご無礼を。私は、戯志才、と申します」
「風は、姓を程、名を立、字を仲徳と言いますよー」
と、人形の子供。
「私は姓を趙、名を雲、字を子龍と申す。旅をしながら、仕官先を探している」
「鈴々は張飛なのだ!」
「私は姓を関、名を羽、字を雲長。村々を周り、賊の討伐を行っている」
……さて。
関羽に趙雲だけでも驚きだが、この子供があの燕人張飛とは。
他の二人は近藤さんに押し付けられた三国志演義の読本で、かすかに覚えがある。
確か、程立と言えば魏に仕えた謀略で知られた軍師……後で、程cと名前を変える筈。
戯志才は……確か、曹操の初期の軍師か。
偽名のようだが、それはおいおい知れよう。
やはり、ここはあの物語の時代なのであろうか?
「それで、先ほどの質問なのですが」
戯志才の言葉に、皆が私を見る。
「では、有り体に話そう。だが、滑稽無稽な話故貴殿らが信じるとも思えぬ。気が触れていると思うかも知れぬが、それでも良いか?」
「聞きますよー。風は、何だかお兄さんに興味があるのです」
「鈴々も聞きたいのだ」
関羽と趙雲も、同意と言わんばかりに頷く。
「……わかった。私は、今から千年以上も後の世にいた者だ」
「千年? だが
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