暁 〜小説投稿サイト〜
至誠一貫
第一部
序章 〜桃園の誓い〜
弐 〜出会い〜
[1/6]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
「はぁぁぁぁっ!」

 私が一人を斬り捨て、

「うぎゃぁっ!」

 関羽も、また一人。

「げっ!」

 斬っても斬っても……という言葉が相応しいな、この光景は。
 最初は斬り殺していたが、キリがない上に切れ味が鈍りかねぬと判断。
 今は急所を狙い、戦闘不能追い込む戦法に切り替えた。
 手首を斬り飛ばしたり、臑を斬ったり。
 あたりは血の臭いで充満し、むせ返りそうだ。

「土方!」
「ほう。やっと名を呼んでくれたな、関羽」
「茶化すな! それより、このままでは埒があかない!」
「そうだな。だが、逃げる事は適わんぞ?」

 会話をしながらも、互いに手は止めない。
 ……しかし、何か手を打たねば。
 む、関羽の背から、斬りかかろうとしている奴が。
 声をかけても、間に合わん!
 咄嗟に国広を抜き、投げつけた。

「ぐはっ!」

 そいつの首筋を貫き、絶命させた。
 まさに、間一髪だったな。

「な……。土方、貴様」
「話は後だ。そら、前だ」
「応っ!」

 だが、どうする?
 打開策は……。
 そう思いながらまた一人、剣ごと腕を斬り飛ばした。
 その時。

「大勢でかかるとは、卑怯なのだ!」

 子供の声……?
 賊の背後から、その背に似合わぬ長さの槍を持った少女が、姿を見せた。

「な、何だこのガキは?」
「死にたくなかったら他に行ってろ!」

 残った賊は、一斉に罵声を浴びせる。

「鈴々を舐めるななのだ!」

 そして、その槍と思しき武器を、軽々と振り回す。
 恐ろしいとしか言えぬ怪力。

「うりゃりゃりゃりゃりゃ!」

 振り回された槍は、そのまま賊共を薙ぎ倒していく。

「凄い……。かなり遣うな、あの子は」
「感心している場合ではないぞ、関羽。今のうちに」
「わかっている! はぁぁぁぁっ!」

 賊は、浮き足立ち始めた。
 よし、これなら後一押しでいけるな。

「こ、こりゃ敵わねぇよ。に、逃げる……ひいっ!」

 我先にと、逃亡を図ろうとした賊が、立ち止まった。
 ……また誰か、現れたようだが。

「理由はわからぬが、賊に義はあらず。この趙子龍、そこの御仁達に助太刀いたす!」

 趙子龍……恐らくは趙雲か?
 しかも、また女子(おなご)か。

「な、何だこいつらは!」
「知るか! お、おい、退却だ! 退却しろ!」
「逃がさないのだ!」
「左様。賊ども、その悪行の報いを受けよ!」

 名はわからぬが滅茶苦茶な強さを持つ子供と、そして趙雲。
 すっかり戦意喪失の賊は、次々に倒されていく。

「……どうやら、助かったようだな」
「……ああ」

 関羽は、ホッと一息をついた。
 正
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ