第一部
序章 〜桃園の誓い〜
弐 〜出会い〜
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「はぁぁぁぁっ!」
私が一人を斬り捨て、
「うぎゃぁっ!」
関羽も、また一人。
「げっ!」
斬っても斬っても……という言葉が相応しいな、この光景は。
最初は斬り殺していたが、キリがない上に切れ味が鈍りかねぬと判断。
今は急所を狙い、戦闘不能追い込む戦法に切り替えた。
手首を斬り飛ばしたり、臑を斬ったり。
あたりは血の臭いで充満し、むせ返りそうだ。
「土方!」
「ほう。やっと名を呼んでくれたな、関羽」
「茶化すな! それより、このままでは埒があかない!」
「そうだな。だが、逃げる事は適わんぞ?」
会話をしながらも、互いに手は止めない。
……しかし、何か手を打たねば。
む、関羽の背から、斬りかかろうとしている奴が。
声をかけても、間に合わん!
咄嗟に国広を抜き、投げつけた。
「ぐはっ!」
そいつの首筋を貫き、絶命させた。
まさに、間一髪だったな。
「な……。土方、貴様」
「話は後だ。そら、前だ」
「応っ!」
だが、どうする?
打開策は……。
そう思いながらまた一人、剣ごと腕を斬り飛ばした。
その時。
「大勢でかかるとは、卑怯なのだ!」
子供の声……?
賊の背後から、その背に似合わぬ長さの槍を持った少女が、姿を見せた。
「な、何だこのガキは?」
「死にたくなかったら他に行ってろ!」
残った賊は、一斉に罵声を浴びせる。
「鈴々を舐めるななのだ!」
そして、その槍と思しき武器を、軽々と振り回す。
恐ろしいとしか言えぬ怪力。
「うりゃりゃりゃりゃりゃ!」
振り回された槍は、そのまま賊共を薙ぎ倒していく。
「凄い……。かなり遣うな、あの子は」
「感心している場合ではないぞ、関羽。今のうちに」
「わかっている! はぁぁぁぁっ!」
賊は、浮き足立ち始めた。
よし、これなら後一押しでいけるな。
「こ、こりゃ敵わねぇよ。に、逃げる……ひいっ!」
我先にと、逃亡を図ろうとした賊が、立ち止まった。
……また誰か、現れたようだが。
「理由はわからぬが、賊に義はあらず。この趙子龍、そこの御仁達に助太刀いたす!」
趙子龍……恐らくは趙雲か?
しかも、また女子か。
「な、何だこいつらは!」
「知るか! お、おい、退却だ! 退却しろ!」
「逃がさないのだ!」
「左様。賊ども、その悪行の報いを受けよ!」
名はわからぬが滅茶苦茶な強さを持つ子供と、そして趙雲。
すっかり戦意喪失の賊は、次々に倒されていく。
「……どうやら、助かったようだな」
「……ああ」
関羽は、ホッと一息をついた。
正
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