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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第二章
十二話 親子対決!?速いのはどっちだ!?
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で大きく溜息をつき、今度は口に出して言った。

「……負けました」
「はい」
少し嬉しそうに微笑むフェイトに少し悔しく思いながら、しかし内心清々しい気持ちでクラナは魔力を放出し続けていた脚の魔力放出を弱め、二人で地上へと降り立った。

「バルディッシュ、モードリリース」
[Yes Sir]
「アル」
[Roger]
二人がそれぞれのデバイスに呼びかけ、武装解除(モードリリース)。クラナがフェイトに気を付けの姿勢を取って、きっちり頭を下げる。

「ありがとうございました」
「はい。ありがとうございました」
頭を上げたクラナの瞳は、既にいつもの彼の少し感情の読み取りにくい物になっていて、フェイトは内心残念に思ったが、それ以上に収穫を得られたのだからと思い直し、クラナに告げる。

「それじゃ、模擬戦は此処まで。次はなのは達と合流して、ウォールアクトだよ」
「はい」
コクリと頷いたクラナは、レイヤー建造物の間をジョギング気味に走りだす。フェイトはというと、その後ろをゆっくりと歩き出した。

『クラナ……あんな顔、するんだ』
フェイトの頭の中に、戦いの中で見せた、幾つものクラナの表情が浮かんでは消える。
真剣な顔、驚いた顔、焦った顔、そして何より、あのキラキラと輝くような真っ直ぐな瞳。クラナの奥深くに眠っている沢山の感情を、今日、フェイトは自らの瞳で見て、確信する事が出来た。
戦いの中だけで見たその経験を、これからの彼との関係にどれだけ生かせるのかは分からないけれど……何時か、当たり前のように、あんな表情を、クラナが見せてくれる日が来れば良い。

「できたら……もう一回、見たいな」
一つ、見たい表情もある事だし。
そんな事を思いながら、フェイトはクラナの事を追うように、一歩一歩を踏みしめる。

────

次の訓練場へと急ぎながら、クラナはアルと話していた。

[相棒、残念でしたね。勝てなくて]
「んー、まぁそうだけどさ、最近全然模擬戦なんてして無かっただけあって、かな。すっごく楽しかったな!」
[ふふっ。相棒はやっぱり戦闘狂ですねぇ]
「そうかな?」
[そうですよ]
アルの言葉に少し不服そうな、怪訝そうな顔をしたクラナはしかし、気を取り直すように、前を向いて明るい声で言う。

「あ、それにさ、確認出来たのも良かった」
[確認、ですか?]
「ん!やっぱりさ……」
アルの問いに、クラナは大きく頷いて、口の端を上げた。
それがフェイトの見たかった表情である事を、クラナは知る由もない。

「フェイトさんは、俺の憧れの魔導師だ!」

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