第三十二話 呉の街その十一
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「そう思えてきたわ」
「私も」
「私もね」
「私も。何かね」
他の三人もこう答える。
「そうなってきたわ」
「じゃあ今から」
「何処かお店探す?」
「出来ればお外のお店がいいけれど」
琴乃は言いながら町の中を見回した。相変わらず見事な日差しである。
「ないかしら」
「そういえば呉って出店ないわね」
景子も一緒に見回して言う。
「何かね」
「そうよね」
「大阪は多いけれど」
特に難波に行けば多い。そこらかしこにある。
「呉はね」
「ないわよね」
「お店は多いのにね」
「そうしたお店はないのね」
このことにも気付いたのだった。
「意外と」
「そうよね」
「それじゃあ」
琴乃は仕方ないかしら、という顔で四人に言った。
「何処かのお店に入って」
「そこで食べる?」
「そうする?」
四人もこう応える、そう言っていたところで。
美優が右側の道を指差してこう言った。
「あったよ、あそこ」
「あっ、あそこね」
「あのお店ね」
「丁度いい位にかき氷の店だよ」
そのものずばりといった感じでそこにあった。
「あそこ行くか?」
「ええ、じゃあね」
「今からね」
「お好み焼きもいいけれどさ」
美優は気付かないうちに今は広島のそれもこう呼んでいた。
「やっぱりさ」
「かき氷もね」
「それもなのね」
「ああ、いいよな」
こう言うのだった。
「暑いしな」
「よし、じゃあ今からあそこに行って」
「それで」
食べようと話してそうしてだった。
五人はその店の方にも行った、そしてだった。
その店でかき氷を注文した、琴乃は苺を頼んで食べた。
それからだ、満面の笑顔で四人に言った。
「やっぱりね」
「いいわよね」
「本当にね」
四人も笑顔で応える。
「夏はかき氷」
「それよね」
「一気に冷たくなって」
「気持ちよくなるのよね」
「それでかけるのはな」
美優も苺を食べながら笑顔で言う。
「これだよな」
「そうよね、苺よね」
「レモンやメロン、ブルーハワイもいいけれど」
「やっぱり第一は苺」
「かき氷にはこれだよな」
「そうよね、苺ってね」
琴乃はその苺のシロップをかけたかき氷をしゃりしゃりと食べてにこにことしながら四人にこう言ったのだった。
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