第一物語・後半-日来独立編-
第四十章 戦場で踊る者達《3》
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な!』
『あ……いや、今言われましても……』
『後で覚悟してろ』
『……はい』
全く、どうしようもない奴を親友にしてしまったと自分に怒りを感じる。
だが、今怒っても仕方が無い。
まずは黄森の方にバレていなければそれでいいが、当初の予定とはがわりと変わってしまった。
しかし、やることは変わらない。
このまま戦闘を続行する。
『A2、聞こえるか』
『……なんとか……』
ザ、ザ、
『魔法術師は手強いだろうが、やれるな?』
『おい、やらせるのかよ。騎神を負傷させたんだろ? だったら今すぐ撤退させた方が……』
『あいつは“どじを踏んだ”と言っていた。それは相手を見くびっていたからで、これからはそれは無い。なら、再戦の場を与えてやってもいい』
『無茶苦茶だなあ。幾らオレがバラしたからってそう焦んなくても』
『こうなったのは誰のせいだ……、なあ?』
『……ごめんなさい』
二人の会話を聞き、終えた頃に、
『行けます、行かせてください。……もう少しで、この痛みにも慣れますし、動かせます』
『よし、なら任せるぞ』
『オレは何すればいい?』
『お前の相手にこちらの考えでも伝えてろ』
『なんか冷たい』
『後で体術の訓練で温めてやろうか?』
『……遠慮しておきます』
会話はこれで終わり、内線による会話を終了。
今度は外線による会話へと移る。
律儀にこちらの会話を終えるのを待っていた敵の方を向き、礼はせずに言葉でお礼の意を示す。
『悪かった、今度はこっちの会話をお前が待つ形になったな』
「お互い様だって。にしても内線での会話なんて、こちらに聞かれちゃ不味いことなのかい?」
『ふん、どうだろうな』
「まあ、いいさ。こっちは省エネモードで極力燃料は減らないようにしてあったから、まだ三分は行けるさ」
『省エネとか何時の時代の言葉だよ。なら、さっそく行こうか――!』
静かな空に今再び、刃と刃のぶつかる音が響いた。
冷たく響いたその音はすぐに、後から発せられた加速機の音によって掻き消される。
空に二機の騎神がぶつかり合い、三分間の戦闘が始まった。
●
空を落ちる騎神が一機。
地上に頭を向けながら、落下していく。
辰ノ大花の騎神・戦竜の量産型実戦訓練機だ。
頭部は熱で溶けたように酷い有り様だが、それ以外の箇所は無傷だった。
騎神から見た真上の方。
金の翼を広げ、黒の衣に身を包む魔法術師の少女がいる。
おかしな高笑いをして、こちらを見下しているように思えた。
『……まだ、だ。まだ行ける……』
頭部を損傷したことにより痛みが意識に伝わり、こちらの頭と意識している箇所が激痛に襲われている。
損傷した最初の方はあまりの痛さに意識が途切れそうになったが、緊急に発動
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