第一物語・後半-日来独立編-
第四十章 戦場で踊る者達《3》
[1/5]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
入直は火炎ノ緋翼が握った長銃、炎熱火砲のトリガーを引くように火炎ノ緋翼に意思を飛ばした。
了解し、火炎ノ緋翼はそれを行った。
トリガーを引き、そのことで起こった爆発のような一線を行く砲撃。
片手による砲撃は位置を維持することは出来無いが、彼方は確実に回避を行うことは解っている。
その上での片腕砲撃で、位置を維持することが出来無いということは位置が変わることである。
そう、片腕砲撃による不規則に動く右腕により彼方の回避パターンを複雑化させたのだ。
それによって生まれる大きな隙。無駄な回避が多過ぎる上で起こってしまった穴だ。
右手だけだったのを左手を砲に添え、ぶれないように今度はきちんと持つ。
回避する騎神を追い、両の腕で砲口を動かす。
振り抜くように、右から左への砲撃を行う。
が、それによって微かだが相手を捕らえた。
『くっ、なんて熱量だ。掠っただけでも装甲が溶けやがった』
脚型加速機|《レッグスラスター》の装甲が、砲撃によって溶けて形を変えていた。
熱は温度感覚機器から伝わり、焼けるを越えて溶けてしまいそうだった。
あれは危険だ。
直撃で食らえばさすがの戦竜であっても、たちまち装甲は溶けて貫かれるに違いない。
強力な武器だ。
弾かれた二本の流魔刀を操り、そのまま腰装着型加速機|《ウエストスラスター》にしまう。
近接戦闘は危険と判断、遠距離による射撃に専念する。
短機関銃を握り締め、脇を閉めて狙いを定める。
相手との距離は約五十メートル。
あれ程の威力を持つ砲撃を再び行うには、射てるまでのタイムラグがある筈だ。
確か先程の会話で、彼方の騎神は後五分しか起動出来無いと言っていた。
なら、こちらは五分になるまで耐え抜けば勝ちとなる。
こちらが時間稼ぎをしてくることは、考えなくても彼方は分かっているだろう。
だから、彼方は攻めて来た。
●
腰装着型加速機|《ウエストスラスター》を噴かし、相手との距離を縮める火炎ノ緋翼。
操縦者と意識を共有していないため動きに若干のブレはあるが、運のいいことにそれによって相手が標準を定めるのに手間を掛けさせた。
火炎ノ緋翼の肩に乗る入直はまだ身体に残る痛みを感じながら、集中を切らさないようにしていた。
「炎熱火砲は放射型の砲撃だが、ぶっというえに砲撃で出る光で視界が眩しくなるからね。命中率が心配だが、まあ、遠距離攻撃だけじゃないからどうにかなるさ」
言い、距離を縮める火炎ノ緋翼が握る炎熱火砲が変形した。
握るグリップ部分が円弧を描きながら縦になり、銃身は装甲によって覆い守られる。
すると、砲の背から緋の刃が現れた。
始めは揺れる煙のように、後から確かな刃の形となる。
剣形態へと、形を変えたのだ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ