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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第3話:新任執務官フェイト
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「さあ、行きますよ!」

「はいっ!」

シャングリラ艦内の訓練スペースでは、ゲオルグとクリーグが模擬戦を戦っていた。
ここ数カ月、任務さえなければ毎日のように見られる光景である。

「だああああああっ!」

「くうっ・・・」

クリーグの斬撃をゲオルグが受け止め、甲高い音があたりに響く。
通路に面した窓越しに、何人かが2人の戦いを興味深げに見つめていた。





ゲオルグがシャングリラに来て1年が経った。
姉の死から半年たち、いつものようにトレーニングに励む姿からは
何事もないように見える。

結局、ゲオルグはエリーゼの葬儀には間に合わず、できたばかりの墓に
祈りをささげることしかできなかった。
それでも、何もできないよりは何倍もましだ、とゲオルグ自身は考えている。

ミッドからシャングリラに戻ったゲオルグは艦内の雰囲気が少し
変わったことを感じた。 
彼に対する悪意が少し和らいだように感じたのである。
それは、ゲオルグ自身が任務で見せた高い戦闘能力による部分も多少はあるが、
大部分はクリーグの弁舌によるところが大であった。

クリーグが療養を終えて医務室を出た時、艦内のゲオルグに対する評価は
真っ二つに割れていた。

探索任務を殉職者も出さずに終えられたのはゲオルグの力があってのこと、
と高く評価する声と、負傷者を出したのはゲオルグの指揮能力の欠如と
無謀な突撃のせいである、という否定的な声である。

最初はゲオルグ自身が自分に対するこれまでの批判に対して反論や反感を
持ってはいなかったこともあって、クリーグはゲオルグに対する否定的な意見を
無視していた。

しかし、事実も知らずただゲオルグを批判するだけの声にだんだん鬱憤が
溜まっていき、ある日それが爆発した。

それは、クリーグが分隊の仲間と昼食を食べている時のことだった。
近くを通りがかった機関部の乗組員が、ゲオルグの不在は臆病風に吹かれたからだと
揶揄する声を聞いたのである。
クリーグは机を叩いて立ち上がると、その機関部員に掴みかかったのである。

 ”分隊長はな! お姉さんが殉職したことを知りながら作戦に参加したんだよ。
  お前らにそんなことができるか!? あとな、分隊長は俺らが無事に
  後退できるように殿を務めてくれただけなんだよ!んなこともわかんねえ
  お前らに分隊長を批判する資格はねえ!”
  
要約すればそのような啖呵を切ったのであるが、この声に食堂の中は騒然となった。
ゲオルグの姉が殉職した事実は一部を除き伏せられていたためである。

ゲオルグが戻ったのちには、”私的なことをべらべらとしゃべらなでください!”
と叱られたのではあるが、クリーグの発言によってシャ
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