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問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜無形物を統べるもの〜
A CAPTIVE TITANIA B
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「いや〜。頭が痛い。」
「先ほどの話を聞いた限りだと、その程度で済むとは思えないのですが・・・」
一輝と鳴央はどんどん燃えていく村を前にそんな話をしていた。
鳴央はもう、この程度の無茶苦茶は気にしないようだ。
「言ったでしょ。俺はもうこの程度ならなれてるって。きついって感じるのは、普段は固体のものかな。」
「あれ?形の無いものを操るのでは?」
「うん。そうだよ。」
「では、どうやって固体を?」
「?・・・。ああ、そういうことか。なに、どうやってかは簡単なことだよ。ある二つのものを同時に操るだけだよ?」
「二つのものですか?それは一体・・」
一輝はそろそろ燃え尽きそうな村に足を向けながら
「その固体の温度と溶けた状態のもの。溶けちゃえばそれに形はなくなるからな。」
ただ、そう答えた。
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一輝は火が完全に消えた村に向かって歩きながら、今更ながらこの村についての説明を鳴央から受けていた。
「この村は、神隠しにあい、迷い込んだ人が来る村というのはもう言いましたよね?」
「うん、聞いた。」
「そして、この村にいる村人は元々村人としていた抜け殻と、魂を生贄とされた人たち、皆死体のようなものです。」
「だから悲鳴も一切上げなかったのか。」
「魂がないため、一切の感情がありませんから。」
「じゃあ、村人の中にはギフト所有者もいるのか?」
「この箱庭に来てから神隠しにあった人は持っているでしょう。」
「ふ〜ん。」
一輝の中から村人を殺すことに対する、ほんの少しあった躊躇いが消えた。
「あれ?じゃあ今さっき倒した人たちもじきに?」
「立ち上がるでしょう。」
「・・・少し手間がかかるが、仕方ないか。」
村人が来たら困る(面倒な)ので一輝は対処をとることにする。
「う〜ん。十体もいれば足りるか。」
「?なにが十体なのですか?」
「うん?それはね・・・」
一輝は、湖に落ちるときに投げたのと似た紙を取り出すとそれを宙にほうった。
「式神。」
その一言と同時に、紙から煙が出て、煙の中から十体のひょうたんを持った狸が現れた。
「は〜。ふ〜。よし。」
一輝は深呼吸をして心を落ち着けた後、式神にいつもよりも低い声で命令を下した。
「我、寺西一輝は汝らに命ずる。汝、この村にありし屍をすべて封印せよ。」
その命令を受け、式神たちは村中にちった。
「よし。これであっちはどうにかなる。さ、神殿に向かうぞ。」
「えっ?あ、はい。」
鳴央は一輝の態度が急に変わったり戻ったりするのに戸惑いながら、前にいる一輝の背を追った。
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