決勝戦
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前からシュートが消えた。
「なっ!?」
いきなりのことで反応できない。しかし、こんな狭いフィールドで姿を隠すことなんて不可能だ。必ずどこかにいるはず。しかし、動く気配もなければ、いる気配もない。どうなっているんだ。
あたりを見回して探してもいない。上にも下にも右にも左にも前にも後ろにもどこにもいない。本当に消えたように。ゲツガは更に警戒してあたりを見回す。だが自分以外、このフィールドに影も形もありはしない。
「どこに行きやがった!?」
いくら見回っても視界には入らない。死角にも入っても気配は感じるはずなのにそれもない。しかし、いきなり、自分の足が払われる。素早く手を着いて受身を取るが足元には自分の影しかない。
「ちくしょう!なんだって言うんだ!」
ゲツガは腰を低くしたままその場を転がって地面に手を着きながらあたりを見回す。しかし先ほどとまったく同じでなにもない。
そしてまた同じように背中に蹴りを入れられたような衝撃が入り地面を転がる。素早く立ち上がり自分のいた元の場所を見るが何もない。背中に手を回して感覚を確かめるが背中にも何もいないのが分かる。
「おい、運営!これはあまりにもおかしいだろ!試合を止めろ!!」
ゲツガは上を見て叫ぶ。これはあまりにもおかしすぎる。相手が見えないなんて反則過ぎるし、ゲームバランスが崩壊している。こんなの気付いたらすぐに運営側が何かするはずだ。しかし、数分も経っているのに運営は何の動きを見せない。
「おいおい。俺をぶっ飛ばすんじゃなかったのか?」
いきなり背後で声が聞こえる。振り向くとそこにはシュートの姿をしたウィルス、シードがいた。しかし、そこは先ほどまで何もなかった場所。いったいどうやってそこに。そんな疑問が浮かぶが、こいつの今の状態はおかしすぎる。
「テメェ、いきなりこのフィールドから消えてどうなってるんだ。そんな、アイテムはなかったはずだ」
「ああ、これはアイテムなんかじゃない」
「じゃあなんなんだ?」
「パス様からの贈り物さ」
シードはそう言った。パスからの贈り物と聞いた瞬間、理解した。
「通りでフィールドにいないはずだよな。そんな力があるなら」
こいつがこの狭いフィールドで消えていた理由を理解する。それは、現在意識不明の玖珂を倒す時に自分が使った移動する能力。あれと同じだろう。しかし、それなら疑問が出てくる。外にいる観客たちがそれを見ておかしいと思うはずだ。この狭いフィールドで視界に完全に収まりきり、絶対に姿を見失うことはない。もし、見失ったらおかしいと思いGMに連絡したりするだろう。だが、それすらない。
「もしかして、お前。俺がこの狭いフィールドから消えたら観客がおかしいって思う
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