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Tales Of The Abyss 〜Another story〜
#12 マルクト軍艦タルタロス
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謝った。だが、アルから返ってきた言葉は意外な言葉だった。
「いえ……、えっ……と? イ……オン……? ローレライ教団の……トップである 導師イオン……、 貴方がそうだったのですか?」
イオンの顔を見て、その名前を呼び、驚きの表情でアルはそう言っていた。
「「え!」」
アルのその返答に2人は驚いていた。彼は記憶が無いと言っていたのに、イオンがどう言う存在なのかを知らないのだと思っていたからだ。
「もしかして、記憶が戻ってたのですか?」
アルにイオンがそう尋ねた。
「いえ……、アクゼリュスに滞在してた時、オレ、勉強しましたから。色々と。……ですから、完璧……とまではいきませんが、ある程度はわかります。流石にイオン様の容姿まで知らなかったので……」
アルは、苦笑しながら頭を掻く。それを訊いたイオンは。
「へぇ…… 貴方は凄い人ですね……」
イオンがアルを尊敬するような眼差しで見ていた。
「凄い………ですか? オレが……?」
「ええ…… 自分が誰かもわからないという、苦悩……そしてその孤独感は尋常じゃなかったと思います。 記憶障害と言う症例を持つ者は、決して多くはありませんが、僕は何度か相対した事がありますから、判ります。……それでも、貴方は常に前を向き行動しているように感じます。それは決して並大抵の事じゃ出来ない事ですよ。凄いです」
イオンはそう続けた。流石に、ここまで凄い凄いと、ストレートに言われたら、アルは照れてしまった様だ。
「い、いえ……。……きっと、オレが目を覚ました所が、良かったからだと思います。 アクゼリュスの町の人達と一緒だったからこそ、オレは、頑張れたんだと思います。 でも、……辛くなかったか。と言えば、それは嘘になります。 でも、あの町で皆と生活を共にして、オレは一人じゃないって思えたんです。だから、大丈夫だったんです」
少し照れながら……笑顔で話した。アニスもイオンも感心しっぱなしといった感じだ。記憶が無いという事はそれほど大変なのだろう。当事者なのに実感が湧かないのは、苦悩はあっても、孤独を感じた事は無いから。それはとても、満たされていた環境だったからと思いたい。
――……いや、間違いなく、孤独じゃなかった。
アルは、そう考えていた。
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