暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第29話 悲劇
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、彼女のHPゲージは、殆ど残っていない。

 注意値(イエロー)を通り越し、危険値(レッド)に入っている。そして、かつての仲間達も、全てのHPを食荒らされ、あの青い硝子片となってしまっている。

 残っているのは、自分と彼女だけだ。 そして自分との距離は、絶望的な程にある。

 彼女の名前は《サチ》。その最後の瞬間、サチの表情は微笑んでいた。死に怯えていた表情じゃない。恨み言を言うような……表情でもない。キリトを見て、微笑んでいたのだ。

 そして、死が迫ってくる。

 木偶人形(モンスター)の一撃が彼女を命を奪う一撃を放ってくる。キリトには、それがスローモーションの様に見えてしまっていた。死ぬ前の走馬灯の様に。

 その時だ!


「うおおあああああっ!!!!」


 叫び声と共に、サチを取り巻いていたモンスター達が消し飛んだ。それは勿論サチに武器を振り下ろそうとしていた者も含まれる。
 爆発音に似た音と、凄まじい破壊力はそのまま、部屋の壁に直撃し、更なる轟音を生んでいた。

「っっ!!」

 サチも、助かった事より、その突然の事に驚きを隠せない。『自分はもう死ぬんだ』と、最後の瞬間を覚悟をしていたのに。死は訪れず、その代わり 身体が思い切り吹き飛ばされそうな衝撃に見舞われた。 だけど、吹き飛んだのは仲間達を殺した憎き、モンスターだけだった。

 そして、新たな怒号が訊こえてきた。

「キリトッ!! 助けるんだッッ!!!」
「リュウっ………!!」

 その衝撃の正体であるリュウキが叫んだ! キリトもサチ同様に衝撃音に驚きを隠せられず、混乱をしかけていたが、今はそれどころでは無い。直ぐに精神を整え直す。今、止まっていれば、今度こそ、サチまでも失ってしまうから。

「ッ!!」

 リュウキのおかげで活路が出来た。サチまでの距離が出来たのだ。光の道が出来た。だから、すぐさま駆け出した!
 リュウキは、キリトが少女を救出したのを確認すると。



「てめぇらはオレが相手だぁぁ! まとめて相手してやる!! かかってこい!!!」


 リュウキが咄嗟に使用したのは、ソードスキルではなく《デュエル・シャウト》。
 まだ無数に存在するモンスターを蹴散らすより、増悪値(ヘイト値)を自分に向ける事を優先したのだ。
 
 そしてこれは、以前も使ったことがあるもの。リュウキのそれは通常のシャウトとは違う。普通ならば、単体にしか効果がないスキルなのだが、彼のは全体に及ぶ。危険は勿論あるが、そんな事こそ、勿論考えてられない。
 全ての敵を自らに集中させる。それを確認したリュウキは、極長剣を再び構えた。……突きの構えで。

 その瞬間、長身の剣が光り輝く。

《極長剣・上位剣技
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