GGO編
epilogue 得たモノ、思い知ったコト
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が、俺には分かった。
ここまで来るのに、三人はどれほどの苦労をしたのだろう。こうして笑いあえるようになるまでに、どれほどの涙を流してきたのだろう。ゲームの中で、「性別逆転現象」を利用して男になる、というのは、果たしていいことなのか。そして三人の関係は、どれほど複雑なのだろうか。
しかし。
「分かった。俺に手伝えることがあったら、何でも言ってくれ。俺も力になりたいからな」
それだけは、すらりと言えた。
本心から、そう思っていたから。
そんな俺に、三人は。
「凄い。グリドースの言った通りだね?」
「そうですね。凄まじい心理分析力ですね。勉強でなんとかなるんですか?」
「勉強では無い、修行の賜物だ。……さあ、ツカサ。言ってやれ」
にっこりと笑って。
「そう、オレ達にはオレ達の事情がある。同じように、シドにだってシドの事情があるんだよね? あの時みたいに、さ。オレ達は、それを全部話してくれとは言わない。オレ達もシドに全部を言わないように、さ。……でもね」
しかし、しっかりと俺の目を見て。
「シドは、「力になりたい」って言ったね? その通りなんだ。そしてそれは、オレ達も一緒。オレが怒ってるのは隠し事したことじゃあない。シドが「一人で敵に向かっていった」ことだ。それだけは、許さない。だってオレ達だって、「力になりたい」んだからね?」
俺の胸に、しっかりとその言葉を刻んだ。
◆
「言われたなあ、シド」
「おお。痛いとこ突かれたぜ……」
あの後、三人はそれぞれ俺に条件を突き付けて行きやがった。
ツカサは「今度何かあったら、必ず言うこと。オレ達が、絶対に力になるから」。ミオンは「『血塗れ雑技団』への正式な所属を。私達が共に助け合う「仲間」であることの、証を」。クソボーズに至っては「反省しろ」。馬鹿にしてんのかあのハゲ。
だが、まあ。
(人に頼るのって、苦手だったからなあ……)
言われてみれば、あの世界にいた頃から……いや、ずっと前から、俺は「人に助けて貰う」のが下手だった。なんでもそれなりに自分で出来たし、出来ない時もなんとか一人でしようとするのがいつものことだった。それを、正面から否定された。
きっつい条件に、背もたれを軋ませて天井を仰ぐ。
そんな俺を、顔なじみの店主はどこか愉快そうに眺めていた。
ちなみに翌日来るといっていたキリトやアスナ、リズベットと『冥界の女神』シノンからは、さっさと逃亡した。エギルは「まったく反省してねえな」と溜め息をついていたが、それは黙殺した。まあ、あいつらと会うのは、もう少し先延ばしにしても、良かろうしな。
こうして俺のGGO
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