GGO編
episode2 赤い目と、空色の夢
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『ラフコフ討伐戦』において、俺がこの手でその剣を砕いて無力化し、牢獄へと送った男。あの時の死闘は、かろうじて俺に軍配が上がったが、どうやら今回は逆の結果になりそうだった。そして奴に、奴の言うところの『本当の力』があるのなら、今はあの時の恨みを晴らす絶好の機会だと言えるだろう。
(……情けねえ……)
奴は確かに「この大会中にあと一人を殺す」と言った。しかし、一人しか殺さない、とは、言っていないのだ。極論もし制限なく殺せるのなら、あの防御フィールドに透明化マント、大口径狙撃銃、そして死を司る黒い拳銃、《デス・ガン》でこの大会の参加者を片端から殺すこともできるわけだ。
そして俺は、それを眺めていることしかできない。
俺が、あのマントを渡してしまったのに。
俺が、あの男を殺し損ねてしまったのに。
(……くそっ……)
悔しさに、視界が歪む。叩きつける拳が、地の砂を弾く。
一度極限まで高まった集中力が切れたことで、思考が徐々に霞んでいく。
(ダメだ、今、意識を飛ばすわけには……)
必死に自分に言い聞かせる。
しかし、その甲斐もなく、視界が暗転した。
あの世界でも経験した、思考の加速後に訪れる独特のブラックアウト。
そして今回は、もしかしたらもう目覚めることは無いかもしれない、意識の暗闇。
その暗闇に、呑まれる、その瞬間。
(もしかしたら、目が覚めたら、ソラが目の前に居たりしてな……)
そんなあるはずもない希望を描いて、俺はゆっくりと目を閉じた。
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