GGO編
episode1 その手に持つ兵器は2
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衛のシノンにはもう回りを見回すほどの余裕が生まれつつあった。
そのエンジン役となったのは、
(間違いなく、『ダイナマイト・ラッシー』……)
目線の先を、針金細工のような極細の体が疾駆していく。なんの前触れもなく現れては消える『ブリンク・ザ・クラウン』の姿を、まるで予知能力の様に当たりを付けて走り出しては、先に出現する敵を間髪いれずに強烈の射撃して牽制する。
(ハンドガンの利点も、十分に生かしている……)
この円形のバトルフィールドは朽ちた遺跡や砕けた石塁も多く、走り難い地帯だ。当然、両手で抱える必要がある突撃銃はこの段差を越えながらでは命中精度が稼げないし、ましてや頬付けや膝立ちが必要なアサルトライフルではどうにもならないが、それでもハンドガンなら崩れた姿勢で走りながらでも一定の命中精度を保ったまま射撃できる。
ラッシーの動きはシノンの知っている……つまりはGGOの、ひいては銃撃戦の動きとはまるで異なるめちゃくちゃなもの。しかしそのひどく野性的で、それでいて洗練された縦横無尽な軌道は、現在最高峰の高性能と思わしきアサルトライフルの乱射を躱し続けている。
「シノンさん、大グモ、今!」
「……了解」
「おおっ、また当てたのかい?すごいね、彼女」
ミオンの指示通りのタイミングでの狙撃で、大グモの目玉を狙い打つ。握り拳大の大きさしかないものの、それでも距離が三百メートル程度ならスナイパーのシノンが外すはずはないのだが、どうやらツカサにとってはそうではないらしい。こちらに頬笑みかけながら、「オレとは大違いだ」と言って、仰け反ったクモへと突進していく。
(……お世辞、ね。あなたとは、質が違うもの)
もっとも彼自身は命中精度など気にする必要はないだろう。
彼こそが「ハンドガンの利点」を最大限に生かしているプレイヤーなのだから。
大きく岩を蹴って跳躍、《軽業》スキルで軽やかに宙を舞いながら、半回転してありえないような体勢で両手のハンドガンを乱射する。あの至近距離まで接近して、あの規模で弾幕をばら撒くのなら、命中精度も何も関係ないだろう。
「ふむ。確かに命中精度なら、双子よりも上だな」
「ガハハ! あの双子はどうにもムラッ気があるからな!」
「二人とも、無駄口叩かず一気に行きますよ。グリドース、特攻。カメさんは十秒後に発射」
「……特攻であるか?」
すでにかなりHPを削られているグリドースが確認するも、無慈悲に頷くミオン。それだけみて、細身の禿頭の下の眉が顰められる……が、そのまま何も言わずに本当に特攻していった。それに引き付けられて一気に小グモが殺到するも、次々と彼のショットガンで吹き飛ばされる。
そして放たれる、プラズマランチャー。小グモ
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