GGO編
episode1 銃声と硝煙の宴2
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仕留める必要がある。
今回のシノンの役目は、その遮蔽物に見え隠れするクモの弱点を狙い打つこと。
そしてそれを可能な限りの速さで実行し、クモのドーム内への突入を阻止すること。
「了解」
一言頷いて構えるのは、《ライトニング・サンダーレイ Ver.Y》。
ミオンが豪語していたように、確かにスコープを覗いて見える着弾予測円はヘカートに負けない程に小さい。これなら、ヘカートの為のいい練習になるだろう。
(……あいつを狙うのは、私だけ……)
現状、前衛のメンバーは機械兵二体と先に広間に辿り着いた機敏な小グモの群れの相手で手いっぱい。ということは、あのクモを狙うのは、自分だけだ。つまり自分が、あのクモがドームに到達するまでの時間内に仕留められなければ、前衛は全滅の危機が生じるということ。彼らの……主にツカサの武器は、おそらくオークションで売れば一千万クレジットはくだらない、相当なレア銃だろう。ドロップとなれば、ただ事では無い事態となる。現実円にして十万の大金が、シノンにかかっているのだ。
(でも、そんなモノ……)
あのときに、比べれば。
集中力によって、体感時間が一気に減速する。高まっていた鼓動がゆっくりになり、それに伴って拍動する着弾予測円が、コマ送りの様に遅くなる。スコープに映る恐ろしげな大グモが、その足をものすごいスピードで動かしてこちらに向かって突進してくる姿すら、シノンの意識を波立たせることは無かった。
引き絞る、トリガー。
生じたリコイルショックはとても光線銃とは思えない、ヘカートを試し撃ちした時以来となる強烈なものだった。二脚を抑えるシノンの体が大きく揺さぶられ、踏ん張った足が押されそうになるのを必死に堪え、スコープを覗き続ける。
(外した、わね……)
一撃目は、大グモの右側に並んだ四つの眼球の、僅かに上へとずれた。
仕方ないと言えば、仕方ないと言える。流石にこれほどの強烈な狙撃銃をまともな実戦レベルで扱うのは、初めてなのだ。一発で成功させることなど出来るはずはないと、分かっていた。だから、慌てはしない。それよりも。
(……凄い威力に、反動……。これが、『対物狙撃銃』のレベルのライフル……)
横腹に弱点を外した一撃を当てただけで、大グモが一瞬怯んで足を止めたのだ。以前出逢った時は至近距離からのアサルトライフルの乱射を受けながらも一切怯まずプレイヤーに一直線に突進していってその体を噛み砕いていた大グモの巨体が、たった一発で。
「オーケー。私の計算では、最初の一発の命中確率は二十パーセントでしたから、当たらないのも想定済みです。次の一撃をあてることに集中してください。まだ十分間に合います」
ミオンの全くぶれない落ち
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