濁り銀
変銀
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白銀の世界に一人の少女がいた。
あたりは白く塗られ生命の息吹を感じさせない。
まだ、なの?
白い地面をしっかりした足で歩く。ザクザクと音をたてながら。
彼女は一人だった。年のころは10くらい。大人の姿はどこにもない。髪の毛は凍りつき、衣服は白く煤けている。露出した手足顔は赤く染まり瞼も落ちかけている。
フラフラと歩き丘の頂上に着いた。そこから見えるのも白の世界。いっそ美しいとさえ思っていまう。
彼女はまた歩き始めた。だが、足を踏み出した瞬間地面が崩れた。
音にもならない声を上げ進行方向の地面を巻き込みながら丘を下って行く。
おかあ、さん……。
瞼が完全に落ち手足の痛みが引いていく。
もはや痛みは感じない。熱いのか寒いのさえ分からない。
お、にいちゃ、ん……。
次々に白い悪魔が迫ってくるがもう彼女に恐れる物はなかった。
いま、いくから……。
意識を手放す直前、急に温かさを感じた。その温かさは彼女を包み込んだが、人の神の笑みは歪んでいた。
どこまでも暗い空間でワタシの意識は目を覚ました。
「おはよう、シルバ。よく眠れたかい?」
「はい、マスターミラー。」
ワタシは中に浮いていた。いや、正確には何か透明な水の中からその外にいる男を見ている。
しかし身につけている物と言えば口にはめられたマスクのみ。その他は腰にもどこにも一切身につけていないが自然と恥ずかしさは感じなかった。
これがワタシのあるべき姿だと直感的に感じたのだ。
この男とは初めて会ったのによく知っている。
一番上のお兄ちゃん。マスターミラー。
鏡の騎士の頂点。またの名をプラチナム・ミラー。
「さて、新たなる騎士の誕生を猊下に報告せねば。」
少しの間男と話した後、その男は闇に消えていった。
その後、ワタシの為すべきことが浮かんできた。人間至上主義を掲げる白光教会を隆盛させ、より良い世界を創ること。そのためにワタシは障害物を排除する。これがワタシの存在意義、生きるための目的。
「おはよう、我が妹よ。」
「はい、おはようございます、ゴルデお兄様。」
「うむ。」
さっきまでプラチナム・ミラーの後ろに控えていた金の刺繍が施された騎士服を纏った男がワタシの足下にある石盤に手を乗せ呪文を唱えた。すると徐々に重力を感じ始め、ワタシの周囲から水が消えた。
そしてどこからともなく白いフード付のローブを着た人たちが現れ、石盤に立つ起伏のないワタシに衣服・装飾品を装着して消えていった。
「素晴らしい、新たな騎士らしい輝きがある。」
「ありがとうございます。」
「さあ、猊下の下で祝福
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