八話
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れ昔食べたことがあったような気がしたんだが……
「柏也」
ジジイがいきなり腰を屈め、俺を小さい声で呼んだので、俺も屈み、音を立てないように近づいていく。
「なにかいたのか?」
「猪じゃよ、しかもとんでもなくデカいやつじゃ」
ジジイが草の間から指を指したので見てみると、乙事主のような馬鹿でかい猪が、呑気に木の実を食べていた。
「儂が頭を狙う。お主は足を切り落とすんじゃぞ」
「え、もうあいつ食料にするのは決定なの――」
俺が変更を希望しようと、ジジイに目をやると、既にジジイは猪に向かって突進していた。
「あーもー、これだから頑固ジジイは!!」
そういって俺も飛び出し、二本の太刀を抜くと猪の斜め前から太刀を振りかぶる。
ザザンッ
ドンッ
という二つの音が聞こえ、右の前足を斬ったのを確かめジジイを見ると、ジジイは猪の牙を一本へし折り、猪の眉間を大鎚が直撃していた。
「なんか、手ごたえなかったな」
「はっはっは、お主もいうようになったのう。それだけ強くなったということじゃ」
ジジイが笑いながら猪を担ごうと、俺に大鎚を渡してくる。
「まて、俺が持つ」
なので、ぎっくり腰になられてもかなわないと、俺が大鎚を返し、猪を背負う。
『柏也はツンデレね!』
(うっせー! お前にいわれたくないんだよ!)
いきなりでてきて変なことをいう照姫に声を荒げて反論した俺は、こうして無事村に戻り、村人達に食料を分け与えてあげた。
もちろんその後、ジジイが村長になったのはいうまでもない。
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