暁 〜小説投稿サイト〜
蒼天に掲げて
六話
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 堪忍袋の緒が切れた俺は、爺に八つ当たりしようと殴りかかる。

「血気盛んじゃのう」

 爺は俺の突撃に動きもせず、俺が繰り出した右ストレートを受け止めると、そのまま投げ技のように組み敷いた。

「じゃがあまり良いこととはいえんの、頭に血が上ると動きが単調になるぞ?」

 俺はいきなりのことに頭が追いつかず、投げ飛ばされたことに気づかなかった。
 てかなんださっきの技は? 力を利用されたような感じがしたぞ。

「お、ようやく見つけたぞ。ここじゃ」

 俺が起き上がると、爺が変な建物の前で腕組みをしながら頷いていた。

「うわー、つるまみれだな」

「十年も前じゃからの」

 感傷的に家に入っていく爺のあとを追い、中の光景を見て驚いた。

「鍛冶工房じゃねえか、てことは息子は鍛冶屋だったのか」

「そうじゃ、少し名の知れた鍛冶屋だったらしいがの」

「へー、ならもっと良いところに住めばよかったのにな」

 俺がそういって爺を見れば、爺は既に部屋の隅で物色を始めていた。

「ここにずっとおるわけにもいくまい。はよう用を終わらせて出るぞ」

 爺にそう催促され、渋々部屋の中を探して回る。
 出てきたものは包丁、金槌、クナイのようなもの、刀、盾っぽいもの、両刃剣、薙刀、棍棒等々、金属の武器やら道具やらが山ほど出てきた。
 そんな中で、俺は部屋の奥に立てかけてある二本の巨大な野太刀を発見した。

「なんだこれ」

 俺がその太刀を持とうとしたところ、太刀の予想以上の重さに体がフラフラとよろめいた。

「重ッ!?」

 俺はこけそうになる体を必死に支えながら、太刀を鞘から抜き放つ。抜き身になった太刀は鈍く光り、そこら辺に置いてある武器等とは明らかに違う異様な空気を醸し出していた。

「おい爺、これすげえぞ。すげえカッコいい」

 俺は目をキラキラさせながら爺に見せびらかすと、爺はなにか紙のようなものを持っており、それをしまいながらこちらを見た。

「形見ってこれでいいんじゃないか? だってこれ他の武器と比べて明らかに丹念に作られてるぞ?」

「ほう、確かに他のものに比べるとこれが一番よさそうじゃのう」

 爺も頷き、形見はこの二本にしたようだ。

「じゃ、形見も見つかったんだから俺は帰るぞ」

 目的が達成できたので帰ろうとすると、爺に首根っこを掴まれた。

「もう少し待たんか」

「ずいぶん長い間付き合ってやったじゃねえか、他になんかあるのかよ?」

「これもなにかの縁じゃ、お主儂と一緒に旅をせぬか?」

 突然爺から勧誘され、俺は即拒否しようと口を開けようとしたが。

『ちょっとストップ!』

 何故か照姫に止められてしまった。

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