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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
チートソード物語・四
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「♪〜♪〜」
記憶の隅にあった歌が何となく今の状況にあっている気がして鼻歌で歌ってみたが、正直歌詞の内容がはっきり思い出せない。まぁ歌の歌詞なんて間違えるのは良くあることだからそれほど気にはしないが。
私は今、(何故か生まれてこの方ずっと住んでいたことになっている)見知らぬ街をぶらぶらうろついている。右手には地図を、左手にはぽんずに繋がれたリードを持って、私は町を探索していた。
何せここは私にとっては初めての町。あの日は父が車で学校まで連れて行ってくれたが、本当は学校がどこにあるかさえ私は全く知らなかった。(今までは隣町の学校に通っていたが引っ越しで転校することになった・・・という事になっているらしい)
流石にそれはまずいので休みを利用してこんな風に探索をしているのだ。おかげで近所の主要な建物と道は覚えてきた。地図片手に街をうろつく小学生ということで、何度か迷子と勘違いされて呼び止められた。学校の自主学習の一環だと言ったらあっさり信じてくれた。ちょろい!
「えっと、あれが槙原動物病院か〜・・・あまりお世話にならないことを祈ろうか」
「・・・な〜お」
2年間苦楽を共にした相方が病床に伏すなど考えたくないのでチラ見だけしてとっとと通り過ぎる。
うむ、この海鳴市は中々に都会な街並みだ。お店やら何やらも一通りそろっており、商店街も活気に溢れている。少しばかり遠出をすればそれなりの規模のショッピングモールもあるようで、何より道路や歩道が広めで歩きやすい。
「良い街だね、ぽんず」
「なーう」
さっき露店で買ったたい焼きを齧りながらぽつりと呟いた。
活気があるし、人々も明るい。家族もいるし猫もいる。何一つ不自由がないと言っても差し支えない程度に、ここの暮らしはいい物だった。それだけに、時々「こんなに楽してていいのかな?」と考える。まるで自分だけがずるして過ごしているような釈然としない感覚。
自分は一度死んで、そしてまた生きている。世の中にはもっと大きな後悔や苦しみの末に「まだ死にたくない」と願いながら死んでいった人が沢山いるはずだ。それを差し置いて私はのうのうと目的もなく生きていて良いのだろうか?
ふと電気屋のテレビを見ると、丁度昼のニュースが流れていた。
『・・・とのことで、平賀才人君が秋葉原に向かったことは間違いないようです。依然行方知れずの平賀君・・・一体今どこにいるんでしょうか?』
『あまりに不可解ですね。監視カメラには確かに平賀君が電気量販店から出る映像が残っていますが・・・それからの足取りは全く不明です』
『警察は事件に巻き込まれた可能性もあるとみて、捜査を進めています。では、次のニュースです。先日未明、駒王町でまた新たな変死体が―――』
・・・やっぱりここは現実なんだな
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